都会の朝
都会の朝は車の音で目が覚める。
薄暗いビルの林の谷間から20世紀の音が聞こえます。
21世紀になると、車は電気自動車やエアカーになるのかも。
その時、都会の朝の音は無くなるのかな、きっと無音の朝。
いや、朝が無くなってしまうのかもしれません。
夏の田舎の朝
林の中から静かにひぐらしの鳴き声が聞こえて来ます。
明け方早くは無音の空間。
いや待て、よく聞けば林の中から沢山のひぐらしが鳴いている。
その声が夢の中に溶け込んで、気がつけば私が林の中に佇んでいた。
ふとその時、エサを見つけた鶯の鳴き声で目を覚ます。
やがてミンミンゼミが鳴き始めると、ひぐらしは何処かに隠れてしまった。
多分、間違いなく1000年もの昔から変わらない音。
そうだ、そうに違いない。
平安時代の朝は、こんな感じで目が覚めたのだろう。
庭に鶏がいたならば、鶯より先に鳴いていたかもしれないけれど。
これは間違いなく時代の朝の音。
都会で現代の音を聞き、田舎で時代の音を聞く。
タイムカプセルがほしい。
時空のヒントはこんなところにあるかもしれません。
死ぬまでに、タイムカプセルがほしい。
