紳助さんが右翼団体に絡まれた時、「もうだめだ」と思ったと言っていた。
自分が発言した内容が右翼団体の逆鱗に触れて、テレビ局に抗議の電話が殺到したという。
「人間マンダラ」の収録に間に合わずに焦った紳助さんは、ゆっくり走っていた右翼団体の車に向かって
「何をトロトロ走っとんねん、ボケカス」
と怒鳴ってしまった。
車が止まり、中から男がゾロゾロと出てきた。
「あんた、この菊の御紋がどういう意味か、わからないの」
一人の男が紳助さんに尋ねた。
「アホちゃうか、菊の御紋やったら俺のケツにも付いとるわ」
その言葉に相手は絶句。
その隙に紳助さんはテレビ局へ急いだ。
よほど許せなかったか恨んでいたか、紳助さんはこのことをテレビで話してしまった。
(実際に右翼団体に直接言ったかどうかは定かではない。たぶん言ってはいないだろう。しかし少なくともテレビのネタとして言ってしまった)
稲川会系の右翼団体は怒った。
世界戦12連勝。具志堅用高の14連勝に次ぐ記録。
渡辺二郎はボクシングに学生時代の日本拳法を取り入れたスタイルで、後のバンタム級王者六車卓也をスパーリングパートナーに付けて、スーパーフライ級の王座を守り続けた。
32歳で王座陥落、37歳で引退。
練習生の辰吉丈一郎とスパーリングを行った時に、時代が変わることを体で感じたといわれている。
引退した渡辺二郎は、それまでとは変わった。
紳助さんは渡辺さんとは30年来の付き合いという事になる。
「知り合い」、「仲間」、「友達」、「親友」
「俺ら、仲間やろ」
「俺らは親友とちゃうんかい」
私は、付き合いの会話ですぐに仲間、友達、親友を語る人間は信用しない。
本当の親友は、互いに冗談以外で「親友やろ」なんて言うことはないはずだ。せいぜい「俺らって親友の部類に入るんやろかな」程度だと思う。
サラリーマンの世界でクールに生きることは簡単だ。
しかし、中小の会社の社長や個人事業主をやるとなると、難しい。
自分に返ってくる風当りはサラリーマンの比ではないからだ。
それでも二人の「親友」がいたとする。
片方はどんどん出世し、片方は自分の進む道を捕まえきれずに坂道を滑り落ちだした。
それを見て
「お前なんか、親友でもなんでもない」
たとえそう言い切っても、親友と呼べる仲なら、切れない「何か」がある。
友情?絆?そんな偽善者ぶった言葉で表せるようなものでもない。
ある意味、親子兄弟よりも相手を思いやる気持ちが強い「何か」だ。
親友というものは、片方が大統領で、片方がホームレスだったとしても「対等」から始まる。
~から始まる?
変な書き方をする。
別に変じゃない。
親友同士時々会うとする。
「おうっ」
そう声をかけて会うときはいつも対等なのだ。
しかし、片方が坂道を転げているときは、互いにしゃべっているうちに気持ちに上下関係が出来て行く。そこにいろんなしがらみが生まれる。
ヤクザの世界には「兄弟分」と「親子」の杯がある。
兄弟分には5:5、6:4、7:3と対等から上下のあるものまであるらしい。
私はヤクザではないので詳しくは知りませんが
対等の杯が、この世界では友人にあたるのかもしれませんね。
対等の兄弟分の杯を受けあったとします。
二人はさらに親密になって親友のようになったとします。
しかし、ある日、その片方が刑務所に行きその間にもう一方が組長になったとします。
その後、刑務所から出てきた人は組長と肩を並べて「兄弟」とは言えないらしいですね。
上下関係が厳しいから、一度杯を返して親子の杯を受けなおさなければいけないんだそうです。
得てしてこんな時にトラブルが起きる。
今まで「おう!」と呼び合っていた間柄が急に片方が呼び捨てで片方が敬語に代わる。
紳助さんは渡辺さんと30年来の付き合いになるので親しい友人といってもいいでしょうね。
渡辺さんがタバコすら吸わなかったボクシング人生を引退して、ヤクザと絡む人生になってゆく姿を、紳助さんは黙って見てはいなかったでしょう。
裁判の証人になって渡辺さんを弁護したのも、その一つだと思います。
渡辺さんだって紳助さんを引き摺り下ろすようなことはしたくなかったでしょう。
だから紳助さんには黙って右翼団体の問題を解決した。
そんなに簡単じゃありませんよ。
山口組の№4(3万9000人の上から4番目の人)を動かしてトラブルを解決するわけですから、少なくとも渡辺さんの命くらいはかかっていたと思われます。
それを知った紳助さんは、自分のために命かけてくれた渡辺さんへの恩義と、山口組(しかも上層部)と関係を持ってしまった事のために、相当悩んだと思います。
紳助さんから見れば、恩義を大事にしてこそ今の伸介さんがあるわけですから、クールに「暴力団に絡むから渡辺さんには恩義があるけど付き合えない」とは言い切れるかどうかって事です。言い切れないよ・・・。
この決断は相当な勇気が要りますよ。誰に対してって、紳介さんの場合なら暴力団でもなく渡辺二郎に対してでもなく、自分自身に。
たとえば、沢山助けてくれた得意先がピンチになって、とても悩んでいる姿を見て、黙って無視ができるかどうかです。
逆に考えると、それで無視するような業者なら、その得意先は業者のことを贔屓したり大切にはしないという事です。
臭いと感じても踏み込むべきかどうか迷うのはこんな時だという事を言いたかったのですが、わかるでしょうか。
私は一応サラリーマンと事業主の両方を経験して、多少なりともその違いを分かっていると思っているのですが・・・。
じゃあ、なんでその後も暴力団と付き合ったのかって?
あのね、そんなに簡単に離れられるものじゃあないですよ。
お金がある人間や芸能人だと、そんなに簡単には離れられませんよ。
それこそ、命がけで(つまりすべてを捨てる気で)乗り越えるしかない。
「そんな柵(しがらみ)持つ前にさっさと判断していったらいいんや」
それでいいのですよ、気が弱くて、視野が狭くて、大して努力もせずに、自分の幸せだけを考えて、欲も持たずに、親友も作らずに、流されるように平凡な人生で生きてゆく。
それが一番幸せな人生なんですよ。
本当ですよ。
けどそんな人ばかりならば、政治はどうします?楽しみや夢を見たり作ったりできますか?
人間であるはずなのに、一応喜怒哀楽を持ってはいるけどロボットみたいになっちゃいますよ。
いろんな人がいてこそ人間社会。
それにしても吉本興業には一体だれが言ったのでしょうかね?
警察?
それとも紳助さんを嫌う人?
(気が向けば続きを書きます)