陰陽師河辺名字「イヴだ!」 |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

***登場人物***
安部清明 平安時代中期の陰陽師。ここでは陰陽師の力として現代と平安時代を自由に動ける術を持つ。母親は狐と噂されるが、実は現代の女性。
河辺名字 安部清明の友人。陰陽師。清明と同じく時空を移動出来る。両親は現代の人ではないかと言われているが定かではない。
泰三    現代のごく普通の少年。清明や名字が気に入って泰三の家に良く現れる
藤少納言 宮廷に使える女房の一人、清少納言に対して「とうしょうなごん」と呼ばれていた。怒ると顔の変化から分厚い化粧がピキッと割れる。しかし、その化粧の奥にある真の素顔を見た男はいない。
豆福    藤少納言に仕える子女房。かわいくて安部清明が密かに気に入っている。
************** 

「臨(リン)兵(ビョウ)闘(トウ)者(シャ)皆(カイ)陣(ジン)裂(レツ)在(ザイ)前(ゼン)」

 魔除けを意味する九字真言。
 陰陽師 河辺名字(かべのみょうじ)。

 安部清明がやってきた。
「やっておるな」
「おう、清明か。今日はどうした」
「どうしたではない、クリスマスイヴだ」
「おおう、サンタたら言う鬼に会わねばならん」
「そうだ、今から行こう」
「何処へだ」
「キンノスケのところだ、子供が居るから必ず来るぞ」
「良し、行こう」

「着いた」
「キンノスケ、しばらくだな」
「ん?ああ陰陽師さんたちか。今日はクリスマスイヴだ。平安の都では関係がないだろうな、見に来たか」
「そうだ、見に来た。」
「まだ朝だから、何も起こらないぞ」
「何時が良いのだ」
「俺も今から仕事だから、夜がいい」
「夜になるとサンタたら言う鬼が出てくるのか」
「あー、サンタね。お二方はサンタを見たくて来たの」
「そうだ、良い鬼だと聞く」
「サンタはとても良い鬼だ、こんな鬼は平安の都にはおらんよ」
「そうか、では夜に出直そうか」
「夜といっても夜中だぞ」
「夜中か、ユータローの側に居れば良いのだな」
「ああ、まあな、会えればよいな」
「どういうことだ、会えないこともあるのか」
「サンタを見たものはいないぞ」
「誰も居ないのか」
「居るといえば、うじゃうじゃ居る、居ないといえばこの世に居ない」
「よくわからん、あの世の者なら困ったのう」
「とにかく、来るなら夜にしろ、俺は仕事に出かける」
「わかった、そうしよう」

夜 に続く