カオルちゃんは死んだ? |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

 この記事を書こうかどうか、迷いました。


 なぜなら、私はカオルちゃんに会ったことはないし、第一、岸和田の人間でもないからです。


 しかし、ある話を同時に二つ聞いたことから、書くことにしました。


「堺や岸和田(大阪の南部)で『カオルちゃん』なんて言うたらアカンで」

「なんでや」

「そんなん、ここら辺で気安う言うてたら、ぼこぼこにされんで」

「カオルちゃんって、ホンマに居てんのか」

「ほんまやって、今でも岸和田の港のほうにある喫茶店によう来てるらしいで」


 しかし、もう一つの話もあった。


「カオルちゃんとうとう死んだらしいな」

「いつごろや」

「去年の年末くらいっちゅう話やで」

「やっぱり、ケンカで死んだんかな」

「なんか、癌で死んだらしいで、あんな人でも死ぬんやな」


 真相はよくわからない。


 生きているとも言われているし、死んだとも聞く。なんだかここまで来ると、鬼・妖怪のようにも思えてくる。


 カオルちゃんはとても強かったらしい。

 話を聞くと、北斗の拳のケンシロウですらなまぬるい。

 私が書いた「酒呑童子」など鼻くそのようなものに聞こえる。


 ◎「銭湯で、一番風呂が好きなんですよね?カオルちゃんて。である日行ったらヤクザの人が二人くらい自分より先入ってて、腹立つから、その人鯉のイレズミしてて『鯉の滝登りじゃー』って女湯に投げるような人」

 ◎「関西の番組で岸和田の駅前の信号の音がおかしいってやってて。それたまたま見たんやろね前の日に。でそこ行ったら近所のステーキハウスのおっちゃんが押しボタンの前に立ってたんですよ。なかなかどけへんかった。で、ギ~~~ッなって。その人間ごとバシャーッて押した。おっちゃん、カオルちゃんの手と押しボタンの間にはさまれて一瞬止まって、信号の音に合わせてタン・タン・タン・タン♪って倒れてん。音楽つきで.」

 ◎「梅雨のときに白の靴はいて白いスーツ着て歩いててん。そんなん梅雨のときはくのが間違うてんやろ?(笑)そこで間違うてるやろ?ほんまは言いたいやん、お前間違うてるて。言われへんけど。黙っとくけどな。(笑)でその日けっこう、水たまりがこう、河のようにダーッてあって。跳びたいけど跳んだらハネあがる(泥水がかかる)と。でなんかそのへん探してるんですよ。そしたら背のたっかいヤツが来たんでポーン!殴ってひっくり返してそいつの上歩いて行った」

 ◎機動隊のバスと26号線でモメて自衛隊員をボコボコにした。

 ◎電車の前に現れて、電車を止めて中に乗っていたやつをボコボコにした。

 以上の話は96年7月のテレビ番組に出た中場さん(カオルちゃんを知る人で本を出している) の話。


 他にも本当か嘘か噂は沢山ある。


 ●「岸和田て言うとこはだんじり祭りが有名やろ、カオルの若い頃の話やけど岸和田だんじり祭は別名喧嘩祭ていうほど荒いんや、9月の14,15両日にあるんやけどな、カオルには母親がおって13日にカオルが寝てる間に警察に母親が連絡してカオルを祭の期間中、留置所にほりこんでもらうんや、祭で悪いことせんように母親が先手うちよんねん」

 ●「大阪の極道と岸和田競輪場で大乱闘、相手は8人、カオル側は3人(て言うても2人は論外の弱さ)一番後方にいた兄貴風の男の顔面にカオルの爆弾パンチが炸裂(7人を掻い潜ってやど)、3メ-トルは飛びました、その勢いでカオルは売店の熱いおでんを7人にめがけて放り投げ2人撃沈、これで5対1。2人をパンチと蹴りでしとめ、見まわしたらあとの3人はいませんでした、勿論警備員は駆け着けていましたが様子を呆然と見ているだけでカオルは8レ-スの終了を見届け子分2人を連れ悠然と正面玄関より帰って行きました」

 ●「組がカオルちゃんをスカウトし一旦現役になったことがあるんやけど組の金は勝ってに使うし兄貴はドツクし、その組も抗争用にカオルちゃんを入れたんやけど他所と抗争前に身内に大変な爆弾を抱え込むはめになり少々の小遣いをカオルちゃんに渡し丁重に辞めてもらったそうや、カオルちゃん31歳の頃のお話や」
 ●「パトカーの手動では開かんドアを蹴り破り、飛び出て国道26号で走って逃げる途中、バイクに跳ねられて反対にバイクの若もんが重体になり、バイクを跳ねた罪と逃走の罪で1年8ヶ月くろた」

 などなど。


 もうカオルちゃんが生きていても60歳を越えているのではなでしょうか。なんでも岸和田競輪のあたりに出没すると聞く。


 こんな人、一回は見てみたかった。


 この話は、映画「岸和田少年愚連隊」で一部取り上げられている。


 最初はカオル役は小林念侍さん。しかし、主役ではなかったので、結構迫力はあったけどカオルちゃんがどんな人物かはイマイチわからなかった。

 その後、竹内力さん扮するカオルちゃん主役の「岸和田少年愚連隊」が出ている。

 こんな中学生・・・・おらんでぇ! そんな感じだが、「ミナミの帝王」でキャラクターが板に付きすぎた竹内力が、そのイメージを払拭してしまう熱演だ。見ていると血圧が上がりすぎて死んじゃうのではないかと思わせる狂気ぶり。

 話に出てくるやくざの事務所を襲撃する話は本当らしい。

 また、果敢にカオルちゃん(竹内力)にケンカを挑んでは負けるイサミちゃん(山口洋行、大人になったら原作者の中場利一)も実在の人物だそうだ。イサミちゃんはいつもカオルちゃんに負けたが一度だけ一番風呂に向かうカオルちゃんを屋根の上から飛び降りて、手に持ったレンガをぶつけてやっつけたことがあるらしい。


 まだ生きているのだろうか…はたまた…。これぞ岸和田の「鬼伝説」。






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