小説「帰れぬ心の故郷」--11章-- |         きんぱこ(^^)v  

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秋葉原で買い物を済ませ、入金した子供の通帳は嫁の居所がわからないので手紙を添えて親に送った。



帰りは、日本橋までまわり、そこから東西線に乗った。



上落合の着いて家に帰っても何も無いので、交差点にあるジョナサンズに入った。



フリードリンクを頼み、カウンターの端に陣取って、肘を付きながら店の中を見渡した。



子供連れの家族が沢山居た。



あとは、アベックや男女の若い連れ合い。



みんな、幸せそうに見えた。



右の方のボックスで小さな女の子が泣き出した。



母親が困った顔でなだめている。



中央のボックスでは、退屈をもてあました男の子がとうとう店の中を走り出した。



それに連れて、3歳程度の妹までが兄の後を追おうと歩き出した。



親は一言注意しただけで、店の中で安心なのか、娘の後を目で追っていた。



カウンターには、先ほどからめがねをかけた女性が小説にふけっていた。



窓際の席ではカップルが座り、男が楽しそうに話していたが、女の顔は笑っていたが退屈そうにも感じた。



角の席では何やらカップルが黙々とノートのようなものに書き込んでいた。



まさに色んな人がいた。



それぞれ人生があるのだろう。



幸せなのだろうか・・。



子供連れの家族を見ていて、知らぬ間に主人が私に変わり、子供が息子に変わっていた。



自首。



(そうだ、自首だ。悪いことをやったかというと・・・やったことになる。)



けど自首しよう。



東京での生活は早くも1ヶ月が過ぎようとしていた。



その間、仕事はせずにゆっくりと考えた。



まず大阪に着くと、なにわ警察に電話する。



次に、刑事と一緒に自宅に戻って、拳銃を見せる。



そして現金200万と拳銃を警察に渡す。



警察は証拠不十分で保釈中の犯人の再逮捕に動く。



見つかるまでは、また東京にでも戻って待とう。



・・・これで安全なはずだ。



体のほうはどうだ・・・。



糖尿が進んで、味覚と嗅覚が機能していなかった。



(当然視覚も時間の問題だろうな・・・・)



焦ってインスリンを沢山打ったところで、帰って危険になるだけだ。



ここのところ、インスリンの投与が乱れていたので、東京での1ヶ月で体調を戻す予定だったが思うように戻ってこなかった。



自分の体は自分が知るところのもの。

心の何処かで、このままでは済まない胸騒ぎが消えなかった。
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