自宅のマンションのポストによくチラシが
入っている。
表側はコースと料金の説明。
裏側には、コンパニオン募集と書かれている。
その隅に、ドライバー募集とも書いてある。
そのコンパニオンとドライバーが、今私の目の前にいた。
ドライバーのリアクションを見て、
さすがの私も、
(このアルバイトは、怖くて出来ないな・・・・・)
と感じた。
案の定、女性を降ろすと
さっさと逃げるように車を出した。
女性は、すこし小柄で、細身の女性だった。
私が伝えた内容どおりといえばそうだった。
顔は、普通で髪は黒く肩まで伸ばしていた。
服装は黒っぽいワンピース。
しかし、全体的に地味で印象は暗かった。
「ここに入りますか?」
「どうぞ、先に行って下さい。」
やはり緊張しているみたいだった。
というか・・・私が逆の立場なら・・こんなことは出来なかった。
(よっぽどお金が必要なんだろうな・・・)
これなら、ソープや飛田新地で働くほうがよっぽど安全
だと思った。
世の中に悪人は絶対数から見ると10%程度だろう。
しかし、善人ぶっていながら二人きりになって豹変する
ような男も結構いると思う。
もちろん、そういう連中は小心者だろうから「かわし方」
くらい習得しているのだろう。
しかし、これは私が女なら到底出来ない。
なにかあったら守ってくれる人が廻りにいない。
一応、ホテルに入った。
先にお金を払った。
28000円。
そこそこの授業料だった。
「喉渇いてないか?ビールかジュース飲む?」
彼女がどうしてこんな仕事をやっているのか
興味はあったが、聞くものではない。
「じゃあジュースくださいね」
「テレビでもつけようか、座って飲んだら、はい」
と冷蔵庫にあったジュースを渡した。
比較的無口なのは性格なんだろうか・・。
私はホテルに入るときから、今ひとつ気が乗らなかった。
そういうことは、相手に伝わるのだろうか。
私は服を脱いで下着だけになった。
「あーー、つかれたぁ・・・・・」
「仕事だったんですか?」
「いや・・・競馬やってて疲れたよ。」
「競馬ってそんなに疲れるんですか?」
「真剣にやったら疲れるよ」
「勝ったんですか?負けたんでしょ?」
「勝ったよ。何とかね、その金がさっきの金ですよ」
ここで話が途切れた。
私が気を使っても仕方が無いから、テレビを観ていた。
よく考えると、私は相手が乗り気でない人とするSEXは
苦手だった。
たとえ、相手が商売で演技でも、乗り気にならなければ
しなかった。
私と距離を置きっぱなしの相手なら、どうしようも無かった。
SEXも目的だろうが、会って打ち解けるまでがたのしい。
しばらく横になって休んでから、
「風呂入りますか?」
「はい。」
「じゃあ、脱ぎましょ」
そのホテルの風呂は小さかった。
「なんだか小さい風呂やね・・・」
顔所は全然微笑みも笑いもしなかったので
ひどくつまらなかった。