ギャンブル小説「とったらんかい!」--通天閣-- |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

商店街を曲がり、飛田新地と書かれた看板を横切る。


一種独特の界隈だ。


時代が一気に戦後、もしくは、明治時代にトラップする。


二階建ての瓦屋根が続く長屋が並ぶ。



tobita


30センチ四方の小さな白いカンバンが光る。


各店の入り口には、「やり手ババア」が通り行く客を誘う。


入り口は開け放たれ、和風の飾りつけがまばゆい。


その中央に女性が座り、通り行く人に微笑みかける。


女性は、ライトアップされて、みな綺麗に見える。


実際、驚くほど綺麗な女性も座っている。


時間は夜の11時前。


狭い通りの両端に店が並び、


通りの中央は店の女の子を物色する自動車が


トロトロと走り行く。


その隙間を、徒歩で物色する男たちがぞろぞろ歩く。


私もその中の一人だ。


飛田新地にくると、目的の店に行く人を除いて


必ず、ほとんどの店を見るために一周する。


全ての女の子の顔を見ないと気がすまないのだ。


私も徒歩の行列に混じって歩いた。


(こんなとこ、何年ぶりかなぁ・・・)


ふと、昔遊んだカズを思い出した。


今は結婚して、和歌山で幸せそうに暮らしているだろう。


この店の女の子は、いったいどんな人生を送っているのだろう。


一日5,6人の客はとらなくてはならない。


一人平均18000円とすると、5人で9万。


半額が女の子に入ってくると4.5万。


結構な重労働だ。


しかし、ソープ嬢などは慣れてくるとやめられないと聞く。


ゆっくり歩いて雰囲気を楽しんだ。


ふっと見ると、目がクリっとしたスレンダーな女の子と目が合った。


彼女は首を少し傾けて、こちらに微笑んだ。


呼び込み疲れたのかババアが元気なく


「はい・・どーですか・・・・」


ち声を掛けてきた。


(ぼちぼちいいか・・・)


「おばちゃん、なんぼにしてくれる?」


「なんぼって・・・あんた、決まってるがな。15分?20分?」


「40分や。」


「40分?・・・20分か30分くらいでええんとちゃうか?」


「ほんまは朝までがええんやけどな、宝山寺みたいに。」


宝山寺とは、奈良の生駒山にある泊まり専門の娼婦旅館である。


「あかんあかん、ここはそんなんとちゃうねん。」


(このばばぁ・・商売する気あるんか?)


「ばあさん、ほなら40分な、勝手に上がるから。」


私は、女の子と一緒に二階に上がった。


「こんばんわぁ」


「おう、こんばんは、かわいいね。ヨロピク」


「きゃはは、なにそれ・・・ヨロピクって、口癖?」


「おう、まあぁな。」


「お茶でも飲んでてな、準備してくるから」


何をどう準備しにいくかはわからないが、5分ほど出て行った。


部屋は、4畳半程度の小さな部屋に小さな卓袱台が置かれてあった。


窓際には布団が敷かれ、なぜか洋服ダンスがあった。


本当は、こんな部屋で2,3時間一緒にいてくれたらうれしい。


こんな場所でのセックスなんて、味気ないものだ。


それより、2,3時間なんのしがらみもない女の子と話をしたり


ゴロンと寝そべっていたかった。


しかし、相手も商売だ。時間も短い。


そんなわけには、行かないのだ。


女の子が帰ってきた。


「じゃ、脱ぐよ」


「うん」


いいプロポーションをしている。


金に狂ったのか、男にみつがされているのか・・・。


最近の若い子は、なんのしがらみもなく来るらしい。


私は相手の気持ちは対して考えずに


抱き合って、久しぶりの女性の胸を楽しんだ。


黙ってすると、わざとらしい演技声が興ざめさせるので


話しながら続けた。


そのうち、布団に転がった。


「ねぇ、どっちがいい?」


女が聞いてきた。


(もう入れるんかい・・・・・)


「上」


「うん」


こういった店では時間があまり長くないので


女の子も前戯はあまり慣れていない。


逆に、そのぎこちなさがいいという人もいる。


私の息子は、やはりどんな状況下でも頼もしい。


彼女は上になり、入れようとしてきた。


私はわざと彼女の両膝を左右に開いた。


「ああんん」


といって、腰を沈めてきた。


しばらくそのまま続けて、彼女を四つんばいにした。


肉棒が彼女の中に埋まって行き、


引き抜く肉棒に、彼女の肉ひだがついてきた。


最後は私が上になって、中で果てた。


さっぱり味気ないが、十分だった。


お金を払うときは、私の心は払わない。


それだけのことだった。


私は、店を出て、北に向かった。


通天閣が、私をやさしく見下ろしていた。