運良く、すぐ近くに耳鼻科がある。

口コミを見た限りでは、良い所だけど混んでいてかなり待たされる、とのことだったが、この日は雪のためか空いていて、初診だったが、ほとんど待ち時間なく診察してもらうことができた。
女性の医師で、医師も看護師も受付スタッフも皆さんテキパキしてるけど説明や対応が丁寧だった。
診察で耳、鼻、喉の状態を確認したが特に異常はなく、鼓膜と聴力の検査へ。
鼓膜の動きに異常はなかったが、左耳は低音が聞こえにくくなっていた。

診断名は「急性低音障害型感音難聴」とのこと。


こんな説明書きまで頂けた。

医師はザックリ説明してから、
「20代〜40代の女性に多く、繰り返しやすいんですが…今回は初めてでしたよね?」

私「いえ…実は何度か同じような感じになったことがあります、まさに20代のころから何年かおきに…」

ひとまず1週間、薬を3種類飲んで、改善が見られなければステロイドホルモンも追加しましょう、ということで。
ああ〜〜〜そういえば、何年か前に(10年近いかもしれない)会社員だったころにも耳鼻科に行ったことがあって、その時もステロイド飲んだ気がする。

耳鼻科も調剤薬局も終えて、小雪が舞う中を歩き、近くの小さめのショッピングモールへ。
耳鳴りのせいで食欲がなくて朝食を食べられなかったので、チェーンのカフェで軽食を。
それから、お手洗いを済ませたら、再び外を歩いて幼稚園へ。
今日も一番乗りだったが、すぐにもう一人、また1人と、迎えのお母さん達がやってきた。
顔見知りのお母さん達とお喋りしながら数分待ち、やって来た先生から全体の報告を聞いてから、教室へ迎えに行くと、娘の姿がすぐには見つからなかった。

「あれ、しろみちゃん、いない?」と私が呟くと、
隣りにいた顔なじみのお母さんが
「先生のお膝に座ってない?」と。
なんと、先生のお膝の上で絵本の読み聞かせを聞いていた。
まさかそれがうちの子だとは思わず、娘を探す視界に入っていなかった。

帰り際に先生達から個別に声をかけて報告もしてくださるが、娘はすっかり先生達に慣れた様子で、自分から先生に近づいたり、膝に座ったり、参加したがらない活動も先生が手を繋いで一緒に行こうか?と誘ったら先生と手を繋いで参加したり…もう、全然、余裕らしい。

まさか、あのしろみちゃんが。
他人に触られることを極端に嫌ったしろみちゃんが。
落とした物を他人に拾ってもらっただけでも、ママがいい!と所構わず泣きわめいて泣き散らかしてた、しろみちゃんが。

午前中にはフワフワ舞うだけだった雪は、帰る頃には勢いを増していた。
寒いわ、風が強いわ、雪が体に積もるわ、耳鳴りヒドイわ、私はとにかく必死で前へ進んだが、娘は吹雪けば吹雪くほど楽しそうだった。

帰宅し、昼食をとり、私は耳鼻科で処方された薬を飲んだ。
3種類あるが、そのうちのひとつが、結構な量の液体で、薬剤師いわく、「かなり苦いので冷蔵庫で冷やして味を少し感じにくくして飲んだほうが良い」とのこと。
この薬は初めて。
リンパのむくみを取る薬らしい。

早速飲んでみると、これが、まあ、激マズ。
泣きそうなほどマズイ。
苦いとかいう次元の話じゃない。
私はわりとどんな漢方薬もハーブティーも飲めるし、この年齢までわりと多く薬を飲んできた方だと思うけど、この歳でこんなにマズイものに出会うとは。

食後の薬だが、後味すら残したくないので、食事の途中で飲むことにした。
飲む前に私が「しろみちゃん、ママこれからマズイお薬のむね」と宣言すると、
娘は自分の食事の手を止めて、「ママがんばってー!フレーフレー!」と応援してくれる。
私が意を決して薬を飲み、すぐにお茶を飲んで食べ物を口に入れると、
「ママ泣いちゃったから涙ふいて!」
と言うので、私は出てもいない涙をティッシュで拭う。
ここまでがワンセットで、1日3回この茶番を行う。

朝から耳鳴りに襲われたこの雪の日以来、私は薬はマズイし耳鳴りはツライし散々だが、不思議とメンタルは落ちていない。
娘も、3日程度だがキレたりグズったり執拗に質問を繰り返して絡んてきたり口答えしたり神経を逆なでするようなことを多く言うことがなく(少しは言う)、情緒が落ち着いている。
コミュニケーションがスムーズにいかないとキレる娘だが、私が耳鳴りで聞こえにくくて聞き間違いや聞き直しが多くなることを説明したら、分かってくれて、実際に聞き間違えても、何度も聞き直しても、キレずグズらず、「ママ耳鳴りでよく聞こえないから間違えちゃったねぇ」とニッコリ笑ってくれる。

夫は「こんなに調子が良いと反動が怖い」と言うが、いやもうむしろ、今まで散々荒れたんだから、逆にこれぐらい落ち着く時期もあっていいでしょうよ!と私は思っている。

まとまりはないけど、雪の日の耳鳴りの話、終わり。