ほんと、マシューがかっこよくて、レトが哀しくて、ホントこの二人が最高っ!、という感じの映画でした。

「余命を宣告された人が今までの人生を見直し、死ぬ前に一花咲せる」なんて映画は、定番的なパターンで、黒沢明の「生きる」とか「最高の人生の見つけ方」なんかが有名なのですかね。
こういう展開はわかっていてもグッとくるものがあり、泣けますし、感動しますよね。
ですが、!!
「ダラス バイヤーズ クラブ」の主人公ロン・ウッドルーフには死ぬ前に一花、なんてカケラすらもありませんでした。っていうか、全くその逆。
前述の映画の主人公達は死を受け入れてるんですよね。色々葛藤はあるものの死を受け入れた上で残された時間でできることを探し、それを達成し、死んでいくといった感じなのですが、ロンは余命一ヶ月を宣告されても決して生きることを諦めない男でした。
概要(公式サイトより)
1985年、アメリカで最も保守的とされるテキサス州で、HIV陽性により余命30日と宣告された男がいた。男の名前はロン・ウッドルーフ。同性愛者でもないのになぜ!?と怒りを周囲にぶつけるロン。『ジャイアンツ』『武器よさらば』などで知られる俳優ロック・ハドソンが実はゲイであり、エイズに冒されたという当時の報道は、驚きと共に、ゲイ=エイズという盲目的な偏見に拍車をかけた。自ら宣告を受けたロンの反応も同じだった。そこから、政府や製薬会社を相手取り、生きるためのロンの闘いが始まる。
主人公ロンに扮したのは、21キロ減量し難役に挑んだ人気俳優マシュー・マコノヒー。ロンをサポートするトランスジェンダーのレイヨンには、監督やミュージシャンとしても活躍し、俳優業から足を洗うと一時宣言していたジャレッド・レト。医師として、体制と個人倫理に挟まれるイブを演じるジェニファー・ガーナーは、彼らの現実と我々の現実の橋渡しに欠かせない“共感”を体現している。
要約すると「酒、ドラッグ、セックス」の三拍子を体現したような男がエイズになり、余命一ヶ月を宣告されたことをきっかけに、闘病により改心(?)し、自分自身の変革、そして最終的には腐った社会構造そのものまでにも一石投じてしまう話。
「死ぬ前に何か残したい」
「何か成し遂げて逝きたい」
というのではなく、
「とにかく死にたくない」
「何が何でも生きるために稼で食べていく」
ことを突き通す。
あくまで自分自身のために必死にもがき続けた結果、周りの人も助けられることがあって、そのもっと先に賞賛や賛辞が待っていたっていうことなんですね。
生きていくために必死に右往左往した結果、計らずとも何か成し遂げちゃった人みたいな感じですかね。
この計らずとも、ってとこがかっこいいんですよね。
「死ぬ前に人のために何かしたい」っていうのも悪くはないんですが、ちょっとさめてしまうんですよね。実際自分がこの状況に直面したら死にたくない、生きたいっていう方が共感できるっていうか、そのほうが普通なんだと思うんですよね。
余命を宣告されたら誰もが思うこと=死にたくない。
この「死にたくない」を決してあきらめなかった男をマシューが演じきったことがこの映画の最大の魅力になっているのだと思います。
とにかくマシューがハンパないです!
正直今回くらいレオ様に主演男優賞を、って思ってましたけど、この映画をみて、度肝抜かれました。まぁ、このマシューには勝てませんわな。
どうしようもないほどのダメ人間から、HIVに感染した事実を信じたくない弱さを見せつつ、病気で衰弱していきながらも薬の服用で回復し、その薬を利用してビジネスを始めイキイキしていく様までを、まぁ見事に演じ切ってます。終盤にスーツを着て出てくるシーンも、身体はガリガリで立つのもやっとな感じなんですが、ちゃんとかっこいいんですよね。
そして目がすごい。シーンごとに目の輝きで表情が全然違うんです。体調の変化、心境の変化が目でわかるんですよ。それは決してメイクだけではなく、目の輝きなんだと思います。
レトも負けず劣らず、ゲイでHIV患者でシャブ中という難しい役どころを悲哀たっぷり死臭漂わせながら演じ切っていました。ちゃんと男気みたいなのも終盤見れましたし。文句無し百点でした。
この二人のやりとりがホントおもしろいんです。
マシュー演じるロンはテキサス育ちのカウボーイ。男の中の男なので、ゲイなんて全く理解できるはずがないし、むしろ毛嫌いしているんですよね。一方のレト演じるレイヨンは最初にロンと出会ったシーンから好意を寄せているのは明白。こんな二人がビジネスパートナーとして二人三脚でやっていくっていうだけでなんか楽しそうでしょ。劇場で何回も声出して笑ってしまいましたよ。
こんな重いテーマなのにちゃんと笑いあり、感動もありで。
ちょっと変わったバディ感がホント良かったです。特にロンのレイヨンに対する感情の変化の見せ方がスムーズで素晴らしかったです。決して一線を越えることはないだろう二人なんですけど、
明らかにロンの中でレイヨンの存在が大きくなっていってる様がよくわかりましたね。
途中、日本人の医師から米国での禁止薬物をロンが買い付けに行くシーンがあるのですが、このシーンだけはもうちょっと頑張ってよ、と半分呆れてしまうほどのクオリティでした。
日本人医師のはずなのに中国人なまりの日本語しゃべってるし、街の雰囲気もなんか異様でしたね。ここまで中途半端な日本描写は見たこと無かったので、逆に一見の価値ありかもですかね。
とにかく、絶対に劇場で、という作品ではないのですが、生きる力がわいてくるような映画ですので、一度はご覧ください。