『しゃかりきバベル』


 日差しが良いある日、遠くの丘に高くそびえる塔を見た。
塔の名前は分からない。小高い丘の頂上に悠然とたたずむ、石造りの頑丈な塔だ。
遠くから見れば小高い程度の丘も、近づいてみると塔が見えなくなるほど高い。
丘の上の塔まで一直線に伸びる急な勾配の階段を登り続け、やっとのことで塔の下までたどり着く。
塔の内部には頂上へと続く石造りの螺旋階段があった。
頂上から見る町の景色はさぞ美しいのだろうと、長い階段を登り始める。


 一度中に入ってしまえば、外の景色は望めない。
ただただ、前方には登り階段、後方には下り階段があるのみだ。
どれぐらい登ったのか、この長い階段はどこまで続くのかさえも分からない。
あと少しかもしれないし、天にまで続いているのかもしれない。
もし今、この塔の名前は「バベル」だ、と言われたら信じてしまうだろう。
無限にも感じられる階段を登りながら、今日起こった出来事について考えていた。



 この町、ワンガヌイに着いたとき、バス停でアンドレアに会った。
彼とは以前、ティプケという町で一度会っている。イタリア人だ。
バスが停留している間、旅の話をお互いにし、適当な宿を教えてもらう。
入れ替わるようにして彼はバスに乗り、北上していった。
その後、教えてもらった宿に行き、部屋に入ってみると、そこにはインカがいた。
彼女はドイツ人で、タウランガという町で知り合っている。
彼女は明日、ウェリントンに行くそうだ。ウェリントンはここから南に位置する都市だ。



 皆、それぞれ方向も距離も異なる旅をしているにもかかわらず、
待ち合わせをしたわけでもないのに出会ってしまう。
最近、そういうことが多々ある。
旅も残すところあと半分という今、最初のころより知り合いが増えているので当然なのかもしれない。
はたして、世界は、ニュージーランドは、そんなに狭いのだろうか。


突如、突風が吹き付ける。
溢れんばかりの光が目を襲う。



数秒の恍惚の後、心なしか近づいたような気がする青空が目前に現れる。
眼下にはワンガヌイの町が、川が、はるか遠くには放牧地が広がる。
それでも、どこを見渡しても日本は望めない。それどころかウェリントンさえも見えない。
東京タワーも、ウェリントンの高層ビルも、すべてあの地平線に沈んでいる。



世界は思ったよりも大きいらしい。


fin



・・

・・・

・・・・さて、なんでこんなことになっているかというと、


1.偶然、宿においてあった「旅の紙芝居(椎名誠)」に感化された。
2.Haweraで日本語を教えるにあたっての日本語の復習。
3.あたかもすごい冒険をしたかのように錯覚させれる。



という理由があります。
はっきり言って、面倒なのでもうしません。
でも、出来事に題名をつけるのは結構好きです。
気がつくと思い出にラベルを貼っていることがよくあります。
内容を文字にするのはめんどくさいのでしませんが。



「しゃかりきバベル」の他にも


「ロイヤルアホウドリ」
「バイバイバイマイセルフ」
「君と私の弾丸ライナー」
「とらふとらじぇでぃ」
「神の業。人の技。」
「13Kmや。なん・・やて・・・」
「Like a ライカ」
など、



色々ネタはあったのですが、とりあえず時事ネタにしておきました。
あぁ、言い忘れましたが今はワンガヌイに居ます。



次はいよいよハウェラです。
日本語教えてきます。
こえー
きんちょーするー