去年くらいから、年に1度のペースで、人に訊かれるようになってきた。
「おへその場所を教えてください」
そんなもの、親にだって訊かれたことは無い。なんだか妙に新鮮なのだ。

他人のヘソに興味津々なのは雷様くらいかと思ったが、相手はうら若き女性だったりする。
健康診断の、腹囲測定というやつだ。

Tシャツの上からメジャーで測るので、おへその位置が基準になるらしい。
「私のヘソはココさ!」と示すと、抱きつくように手を回され、しゅるりとお腹周りを測られてしまう。
ドキドキしちゃうじゃないか。 同時に血圧とか測られたら、きっと正しく数値が出ないのだ。


お腹周りが85センチ以上? だったかしらん? そんな人は、メタボのおそれがある。
どんなものかと思ったら、去年よりも腹囲は3cmほど減少していた。
しかし体重は2kg近く増えていた。

よく判らない事になっているのだ。
肉はどこについたんだ?

ダイエットに苦労する女性から、
「減って欲しくない部分から減る」
「最初に顔だけパンパンに太る」
などという話を、よく聞く。

となれば男も、特定の部位のみ、集中して増減することもあるだろう。同じ人類なんだし。
腹より先に、どこかが太っている疑惑!

真っ先に思いついたのは、顎だ。顎が増えたんじゃないか。2kgの肉が顎に集中する。それはいったい、何重顎なんですか。
不安になって鏡を見たが、顎はひとつきり。

顔だけ太ったというわけでもない。どちらかというと、皮の薄い顔である。
おかげで、ほっぺのふくふくとした人に弱いが、今はそんなこと関係ないんだ。

どこを探しても、そこだけ妙に肥大したという、めぼしい部分が見つからない。どこか見えない部分、見えにくい部分が太っているのだろうか。
後頭部とか。
耳の中とか。
足の裏とか。
・・おしり!?
もしかしたら、以前よりも、モミごたえがあるのだろうか、コレ・・。

良い年をした男が1人、
風呂上り、
全裸で、
我が尻を、
モミモミしている。

それは想像する者を、ひどくイヤな気分にさせるのだった。
いや、当人だってイヤな気分になっている。おあいこだ。
長い人生、なるべくなら、「俺いったい何やってんだろう・・」などと自問したくはないのだ。
なるべく回数は少なく抑えたいんだ。

当人も、見る人も、イヤな気分にさせる、メタボ検診。それはかように恐ろしいものだ。

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