「お前・・こんなとこで、1人でなにやってんだ?」
ある種の人間が1人暮らしをすると、よくこんな言葉が口から漏れるようになる。
現場は物干し竿の前だ。

ポツンと、淋しげな風情で、そこにたたずんでいるのだ。
靴下が。

全部の洗濯物を干し終わったというのに、そいつと色の合う相方はどこにもいない。
片足で、照れくさそうに、物干しにぶら下がっている。
それもただ事でない頻度なのだ。毎週2回は単体の靴下を見かける。相方はどこへ行ったんだ?
これは世界中の1人暮らしの人間に、共通の問題だと思うんだ。

きっと、イタズラ好きの妖精さんが、持って行ってしまうのだ。妖精さんは手が小さいから、片方しか持ち運べない。
よっぽど、僕の足のニオイが好きなのだろう。そんな妖精さんは、ちょっとどうかと思うのだが。

妖精さんの特殊な性癖を心配していた日々だったが、先日、洗濯機の下に、かたっぽだけの靴下がゴロゴロ溜まっているのを発見した。
彼らはそこにいたのだ。

カゴに回収する時に、ぽろっと落ちてたんだなー。
しかし今さら見つかっても、相方と再会するのは難しいだろう。
なぜなら、生き別れた靴下は、もはや別の似た靴下と、雑にカップリングされているからだ。

なに? それをまた選り分けて、正しい組み合わせにすればいいって?

そんなことができる人間だったら、左右で色の違う靴下を、平気で履いたりしないのだ。
ある種の人間は、緑と青くらいの違いなら、親戚みたいなものだと考えるのだ。
ある種の人間とは、雑なA型のことである。
雑Aの家では、これからも靴下は洗濯カゴから転落し、色違いのカップリングが増え続けていく事だろう。

昨日に引き続き、原因が判ったところで、どうにもならないという、お話でした。
まるで恋のようだ。