そんな時にたまたま次男の学校の担任の先生に連絡したところ、
「関東の〇〇高校の先生が来週、息子さんの勧誘に来る」
と聞き、仰天することとなった。
〇〇高校は全国優勝を何度も経験している言わずとしれた柔道の超名門高校である。
A先生には
「高校は関西圏内に進学させたい」
旨の希望を伝えていたのでまさに青天の霹靂であった。
その為、即座にA先生に連絡したところ、
「関東の〇〇高校の先生が是非、息子さんを欲しいと言っているのでとりあえず中学に挨拶に来るだけだ。本件は私から改めて両親に説明すると息子さんには伝えていた」
との回答であったため、
「私達の希望も聞かずに話を進めるのはいかがかと思う。相談の場を設けて欲しい。何なら今すぐにでもそちらに伺う」
と依頼し、後日(9月14日)、A先生、次男、私達を交えての相談をすることとなった。
X県からY県へは高速利用で2時間程度であり、すぐにでも飛んで行きたい気持ちであった。
学校の担任の先生に同席をお願いしたが
「プライベートなことなので」
と断られた。
次男と電話で話した際には
「A先生から「俺に全て任せろ」と言われていたので何も言えなかった」
とのこと。
次男は関東の〇〇高校への進学へ気持ちがかなり傾いているように感じた。
(後日、詳しく話を聞くと「〇〇高校に行ってオリンピックを目指せ!」等、散々、夢のような未来を吹き込まれてその気になったようである)
予想もしなかった事態に私も妻もまさに困惑。本当に不安な気持ちで当日を迎えることとなった。
私達が関西圏内の高校進学を希望していた理由は下記のとおりである。
・私達が関西在住であったため、何かあった際にはすぐに駆け付けて対応することが出来ること
・次男が在学中に怪我や病気により柔道を断念することも有り得る。その場合も同じ関西圏内であれば違う道の選択等についてすぐに対応することが出来ること
(上記はいずれも遠隔の高校の場合は対応が困難である)
関西圏内の高校への進学だけは私達には絶対に譲れない条件だった。
相談日を迎えるにあたり、私は会社で尊敬する元上司に本件について経緯を含め相談した。
何としても良い方向に持っていきたいと願う一心であった。
元上司からは
「未成年者の進学については当然ながら親の同意なしでは進められない。自信を持って対応するように」
と励まされた。また、
「スポーツ推薦で進学した部下に聞いた話では、高校にもよるがスポーツ推薦って9月頃には結構決まってしまうのだろう?こんな時期まで何も言ってこないなんてA先生という人物は確信犯なんじゃないか。外堀から内堀まで全部埋めた後で「進学先はここに決まった」とか言うつもりだったと俺は思う。だとしたら、かなり難しい交渉になる。その場合に何を優先事項とするのか考えた方が良い」
とも言われ、私も同じ思いだっただけにA先生に対する不信感が高まった。更に
「柔道も良いが中学生が柔道だけに人生を賭けるというのはどうかと俺は思う。学生の本分はあくまでも学業だろ。学生なら文武両道を目指すべきなんじゃないのか。高校進学もおまえは推薦を前提に考えているようだが、本来は勉強による一般入試で入学するんだぞ。おまえも少し頭を冷やしたほうが良いぞ」
と忠告もしていただいた。
当時の私は想定外の出来事にかなり動揺していたし、また、次男の柔道の実績に有頂天になっていた部分もあると思う。
元上司はそんな私の様子を見て、適格なアドバイスや冷静な忠告をしてくれたのだ。
元上司に相談することによって私はかなり冷静になれたのは間違いない。
因みに全柔連にも相談の電話をしたが取り合ってもらえなかった。