予告編で「日本中を笑顔にします」とかいうから、山あり谷あり、
明るく前向きに生きる家族を描くウルトラハッピー系だと思ってたのに、
観てる時間の8割くらいつらかった。

つらい=不快じゃなくて、とにかく「おおかみこども」の母、
花が大変な困難を背負い続けたり、おおかみこどもたちの不安なアイデンティティとかに没頭しちゃってつらかった。
日常生活を送るだけでもひたすら大変、そして日常生活を送るシーンが大半だから、つらい。

没頭しすぎたのは、超綺麗な背景美術と、冒頭の90年代前半っぽい空気のリアルさと、キャラクターの生々しさのせいかなぁ。
昔、途中から観たのに主人公がかわいそう過ぎてずっと泣いてしまった映画『アイ・アム・サム』のようだった。

その分、ちょっとずつ雨と雪が成長していくところとか、
最後、それぞれが生き方の答えを見い出すとことか、めちゃくちゃ感動しちゃった。

出した答えは正解かどうか全然わかんない、答えを選ぶっていうか、選択したっていうほうが正しい。
どっち行っても大変なことに変わりないけど、自分で納得して選ぶのが大事だよって、
すげー普遍的なことを、めっちゃファンタジーな設定で直撃させられて、満足。

ロケ地は富山みたいだけど、自然の描き方がめちゃくちゃきれい。深呼吸したくなるレベル。リアルな自然がもはやファンタジー。
その上「自然を守ろう!」的な説教のために破壊されるシーンがあったりするわけじゃないので、映像美を堪能するっていう観点でも良くできてる。
花も雪も雨もかわいいし、生命力に溢れてて、好きだわ。
花の生き方は、それでいいの?って思うところもあるけど、人生って、他人から見たときの良し悪しじゃないんだよっていう。

観終わると、つらかった部分も全部良かった!に変わる、というかつらさがしあわせへのアプローチだから、良い、大変いいんだけど、やっぱ観てる最中はつらかった。

遅い時間に行ったせいで、観終わったらパンフ売り場が閉まってたのもつらかった。