21日付 北海道新聞朝刊の記事より(抜粋)
函館市長は函館本線の内、新函館以北の路線の3セク経営について、函館の経済状態を考えれば市民の合意は得られないとして不参加を表明。北海道や他の沿線自治体とは協議をしていなかった模様で、困惑の声が上がっている。
22日付 北海道新聞朝刊の記事より(抜粋)
函館市長は江差線の出資比率について「江差線の中心利用者は木古内町の住人である」として、利用実態に則した配分を求めた。北斗市は既に地方負担分の半分を引き受けることを表明。残る半分を木古内と函館で負担することになっている。
しかし、木古内町は財政規模が小さく利用実態での配分は困難だとして、財政規模による配分を求めている。
以降、見解。
①3セク経営への疑問。函館が参加表明している3セク鉄道は「木古内-五稜郭間」と「函館-新函館間」。では、この2つの3セク鉄道の経営は同じ3セク鉄道で運営するのか、別の運営となるか。前者は貨物路線、後者は旅客路線かという性質の違い、そして木古内との出資比率についての問題や新函館以北の不参加表明を考えると、恐らく切り離すことを加味して別々の運営にするのでは。
そして、ここからが問題。22日付の道新朝刊、工藤市長の公約についての記事。抜粋すると「
市長の公約の中で天下りは認めないというものがある。これについて市長は
『函館が運営する企業』への天下りは禁じたものの、『函館が出資する企業』については問題はないとの認識を示した」。その『出資する企業』に該当するのが第3セクターのことで、
当然この3セク鉄道も天下り可能な企業となり、
事業規模を考えれば最高の天下り先といえる。
ちなみに函館市が5割以上出資している3セク企業は以下。
(財)函館市文化・スポーツ振興財団
(株)函館国際貿易センター
(財)函館市住宅都市施設公社
(株)函館市椴法華振興公社
(財)南北海道学術振興財団
(財)函館市水道サービス協会
一般財団法人函館国際水産・海洋都市推進機構
公約を表面上守る一方で、巨大な抜け道を作るために経営分離を容認したのでは。
事実、同じ3セク鉄道の青い森鉄道の監査役(非常勤・年収約50万)には前自治体長の名が見える。
②新函館以北の3セク経営不参加は予算の見通しを立たせやすくする一方、七飯・森など近郊自治体からの通勤・通学者を切り離す。
通勤・通学の問題点については、
本サイトの一番目の質問状⑱項「木古内や大野、七飯、森など近隣市町村から通う高校生など学生たちの通学手段がなくなることについて、どのように考えているのでしょうか。それらの地域が第3セクターに就航要請した場合、金銭負担などどのような対応をなされるのでしょうか。また、天候・季節によって運行が非常に不安定なバス通学へシフトした場合、最悪函館市内の学校への通学を諦める世帯が現れる可能性は検討したのでしょうか。」
との指摘に対し、市・市長は
「(…前略)一方,大野・七飯方面については,札幌開業時に経営分離される函館線(函館・小樽間)での対応となり,新函館駅・現函館駅間については,第3セクター移行後も経営分離前と同等の利便性・サービスを確保する内容でJR北海道に委託して鉄道運行することとしており,新函館・小樽間の取り扱いについては,今後設置される協議会において,議論していくこととしております。いずれにしましても,地域の重要な足の確保という観点から協議の場において,議論が進められるものと考えております。」
と回答しておいて、2ヶ月も待たずその言葉を翻す姿勢は、あまりにも誠意がない。
ただ、悲惨化を明言したことによって予算の枠は見えてくるという面もある。が、同時に巨大な赤字を生み且つ高額な運賃が伴うことも意味する。
今回、函館-新函館駅間の料金は函館-渡島大野間の料金350円をベースとして試算。北海道新幹線は定員731名。満席換算で1便当たりの売上は25万5850円。東京、札幌からの便数を特急白鳥、北斗で換算すると、9便と11便の計20便。1日当たり最高の売上で511万。年間で18億6770万。市長は「年間数千万の負担なら問題ない」というが、搭乗率・観光客旅行先の変化の影響を加味すれば3セク移行後億単位の損失をはじき出すのは目に見えている。
七飯・森から函館への地域交通の主としてあり続ければ、他町との出資比率の交渉で初期投資を薄めたり、定期客の囲い込みという手段も考えられたが。
明日からの市議会でこの問題が上がるかどうか。