いつもとなにも変わらない朝
見なれた赤い車体に聞き慣れたブレーキ音
いつも通りの7時49分ちょうどにやってきたそいつに乗り込み、人と人の間にできたかすかな空間に自分の身体を滑り込ませる
正面に立つ中年男性の頭髪に塗りたくってあるヘアートニックの匂いが鼻をつく
しかしこの満員状態に耐えなければならないのはものの20分
6つ目の駅で乗客の3分の2以上は中央線へと乗り換えるためこの列車を降りるのだ
そして今日の朝もそれは例外ではなく、列車内に立つ人は一人もいなくなった
いつもとなにも変わらない朝
しかしふと顔を上げ前を見ると、向かい側の席の右から3番目に座る女性から目が離せなくなった
iPodからはビートルズのストロベリー・フィールズ・フォーエバー
直径5センチほどの機械から生み出されるポールの歌声は、乾いた振動となりぼくの耳から耳へと通り抜ける
音などなにも聞こえなかった
気がつくと目的地へと着き、この列車にはぼくと彼女だけになっていた
彼女は一足先に列車を降り、ぼくも後を追いかけるように列車を降りた
iPodの音楽はとっくに鳴りやんでいた
彼女は使い古された定期券を改札機に通して、ありとあらゆる改札口達によってつくられた世界から抜け出し外の世界へと歩いていった
そしてぼくも目の前に佇む鼠色の扉を開こうと改札機の口に定期券を流し込む
しかしそれと同時に改札機は自分の予想していなかった悲鳴をあげ、扉も断固として開こうとしない
おかしい、なぜだ
その間にも彼女の後ろ姿はみるみるうちに小さくなっていく
そして何か言いようもない嫌な予感が頭をよぎり、自分の定期券をよくみる
愕然とし、膝から崩れ落ちた
そう、ぼくが手にしていたものは紛れもない
1切れのまぐろの刺身だったのだ
見なれた赤い車体に聞き慣れたブレーキ音
いつも通りの7時49分ちょうどにやってきたそいつに乗り込み、人と人の間にできたかすかな空間に自分の身体を滑り込ませる
正面に立つ中年男性の頭髪に塗りたくってあるヘアートニックの匂いが鼻をつく
しかしこの満員状態に耐えなければならないのはものの20分
6つ目の駅で乗客の3分の2以上は中央線へと乗り換えるためこの列車を降りるのだ
そして今日の朝もそれは例外ではなく、列車内に立つ人は一人もいなくなった
いつもとなにも変わらない朝
しかしふと顔を上げ前を見ると、向かい側の席の右から3番目に座る女性から目が離せなくなった
iPodからはビートルズのストロベリー・フィールズ・フォーエバー
直径5センチほどの機械から生み出されるポールの歌声は、乾いた振動となりぼくの耳から耳へと通り抜ける
音などなにも聞こえなかった
気がつくと目的地へと着き、この列車にはぼくと彼女だけになっていた
彼女は一足先に列車を降り、ぼくも後を追いかけるように列車を降りた
iPodの音楽はとっくに鳴りやんでいた
彼女は使い古された定期券を改札機に通して、ありとあらゆる改札口達によってつくられた世界から抜け出し外の世界へと歩いていった
そしてぼくも目の前に佇む鼠色の扉を開こうと改札機の口に定期券を流し込む
しかしそれと同時に改札機は自分の予想していなかった悲鳴をあげ、扉も断固として開こうとしない
おかしい、なぜだ
その間にも彼女の後ろ姿はみるみるうちに小さくなっていく
そして何か言いようもない嫌な予感が頭をよぎり、自分の定期券をよくみる
愕然とし、膝から崩れ落ちた
そう、ぼくが手にしていたものは紛れもない
1切れのまぐろの刺身だったのだ

