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北側斜線制限とは、建築基準法で定められた建築物の高さを制限する法規、いわゆる斜線制限の1つで、北側隣地の日照の悪化を防ぐことを目的とした法規です。
北側斜線制限は、北側隣地境界線を起点として「高さ」と「斜線の勾配(角度)」によって規制されます。
◆制限の及ぶ範囲
第一種低層住居専用・第二種低層住居専用の各地域内の建築物の各部分の高さは、その部分から前面道路の反対側境界線、または隣地境界線までの真北方向の水平距離の1.25倍に5M(第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域内では10M)を加えたもの以下に制限されます。
・第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域の場合
→真北方向の水平距離×1.25+5M
・第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の場合
→真北方向の水平距離×1.25+10M
例えば、第一種低層住居専用地域の場合、北側隣地(道路)境界線から垂直に5Mの高さをとり、その地点から1.25/1勾配の中に建物を収めて計画しなければなりません。
なお、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域で日影による中高層の建築物の高さの制限がある場合には、北側斜線制限の適用はありません。
◆方位がふれている敷地の場合
北側斜線制限は真北*に対して測定し、敷地の方位がふれている場合は、一方向だけでなく二方向からの斜線制限を考慮しなければなりません。
*真北とは、「北極点、つまり地球の自転軸の北端(北緯90度地点)を指す方位」を言います。磁石で測る磁北とは異なるため注意が必要です。
◆北側隣地と高低差のある場合
・北側隣地が計画地よりも高い場合
北側隣地が計画地よりも1M以上高い場合は、(高低差-1M)/2だけ敷地の地盤面が高い所にあるとみなして北側斜線の計算をします。
・北側隣地が計画地よりも低い場合
北側隣地が計画地よりも低い場合は、高低差のない敷地と同じ考え方で北側斜線制限の計算をします。
◆天空率との関係
天空率とは、道路の反対側(隣地)から空を見上げた時に、その建物によって遮られない空の広がりがどの程度あるかを「建物と空の比率」から示したものです。
天空率は斜線制限の緩和条件となり、北側斜線制限や道路斜線が不適合でも天空率が適合していれば、その制限は適用されません。
◆高度地区との関係
建築基準法が定めている北側斜線制限が全国共通の規定であるのに対し、高度地区は都市計画法が定める法規で、制限の内容は各自治体ごとに異なります。
例えば、東京都や神奈川県の第一種高度地区では、北側境界線から垂直に5Mの高さをとり、その地点から0.6/1勾配の中に建物を収めて計画しなければなりません。
なお、都市計画で高度地区が定められている場合は、その影響を受けますが、高度地区を採用していない自治体の場合は建築基準法の制限が適用されます。
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