9月に読んだ本

俵万智「生きる言葉」……言葉をあらゆる切り口で考察し、歌人らしく瑞々しく、かつ気さくな文体でまとめられた一冊。コミュ力やクソリプ等、現代人が直面する課題へのヒントもあり。子育て、石垣島、宮崎……冒頭から興味を引かれるフック満載。「ゲームはおやつみたいなもの」「いま僕自身がマリオなんだよ」と言った名言や「心は皮膚にある」という説の引用も、印象深かったです。ホスト歌会は興味深過ぎるし、録り溜めていた大河ドラマ「光る君へ」を見直したくなったし、ヒコロヒーさんの小説も読みたくなってしまった。そして、俵万智さんのXは秒でフォロー![]()
東野圭吾「架空犯」……東野ミステリー常連読者としては「逮捕された被疑者が真犯人を庇ってるパターン」はお馴染み。お楽しみの後半は、ページをめくる手が止まりませんでした。さすが東野圭吾。よっ、睡眠時間泥棒!(←褒めてるww)パズルのピースがはまっていくごとく謎がとけていく快感。かなり早い段階で真犯人に気付けた自分の勘の鋭さに酔いしれつつ、藤堂都議殺しの犯人には驚愕。

永嶋恵美「檜垣澤家の炎上」……明治〜大正の横浜を舞台に繰り広げられる、名家サバイバルミステリー。ヒロインの頭脳明晰過さが天晴。現実世界でも相手の言葉の裏や真意を見極めようと(無理だけどw)考える癖がついてしまうほど、感化されてしまいました。まるでコロナ禍なスペイン風邪の描写に繰り返される歴史を感じ、着物やドレスの描写にウットリさせられ、馴染み深い横浜界隈の地名に思いを馳せながらページをめくる手が止まらず、約800ページの長編なのに一気読みしてしまいました。映像化希望。
百田尚樹「夢を売る男」……自費出版にまつわる様々な人間模様を描いたブラック・コメディ。出版不況の今こそ注目したい、業界の「光と闇」ならぬ「闇と闇」を垣間見れます(笑)

