謎は謎のまま。最後に謎の殺し屋たちは撃ったのか?

 

完全ネタバレ無し編はこちら

 

映画作品情報

     
題 名 スワロウテイル
原 題 SWALLOWTAIL BUTTERFLY
公 開 1996年
時 間 2時間29分
制 限 R15+
シーン 殺 人
ヌード
監 督 岩井俊二
出 演 Chara
三上博史
伊藤歩
江口洋介
渡部篤郎
山口智子、アンディ・ホイ、桃井かおり、大塚寧々、洞口依子、ミッキー・カーティス、他
評 価 ★★★★☆ 4
再視聴 長いがまた観たい

 

 

舞台・設定

   
舞 台 架空の日本の街
円街:イェンタウン
設 定 円街での中国移民(円盗:イェンタウン)たちの貧困、犯罪、争い、成功を描いた物語

 

場所は間違いなく日本だが多国籍で独特な仮想の世界を舞台にしている。言葉も日本語、中国語、英語が入り混じっていて字幕も多い。そのため世界観を受け入れられなければ映画には入り込めない。

 

 

役名(俳優)

   
グリコ(Chara)
  娼婦、YEN TOWN BANDのヴォーカル

 

フェイホン(三上博史)
  グリコの恋人、グリコを歌手にする

 

アゲハ(伊藤歩)
  母親が死にグリコに引き取られる。グリコからアゲハという名前をもらう

 

リョウ・リャンキ(江口洋介)
  上海マフィアのボス

 

ラン(渡部篤郎)
  正体不明の殺し屋、謎の店「あおぞら」の主

 

 

 

キーアイテム

カセットテープ
偽札

 

 

 

 

 

あらすじ

母親を亡くした少女を無理やり押し付けられ引き取ることにした娼婦グリコ。彼女は名前の無い少女にアゲハという名前を付ける。ある日グリコは客の須藤という男を誤って死なせてしまう。死体をフェイホンやランたちと一緒に埋めるが、そこで死体の腹の中に隠されたカセットテープを発見する。カセットテープには「マイウェイ」が録音されていた。

 

やくざの幹部だった須藤の行方を追う組と上海マフィアのリョウ・リャンキ。その頃カセットテープに隠された秘密にランが気づく。テープに録音されていたのは1万円札の磁気データだった。ランは偽1万円札を作ることに成功する。その金でフェイホンはライブハウスYEN TOWN CLUBを作りグリコを歌手にする。グリコは歌手として成功していくがレコード会社はグリコから恋人フェイホンを遠ざける。

 

転落していくフェイホンと歌手グリコは離れていく。そしてライブハウスYEN TOWN CLUBも潰れてしまうが、その店を取り戻そうとするアゲハ。人気歌手となったグリコの過去を知った記者とカセットテープの行方を追っていた上海マフィアがグリコとフェイホンを追い詰める・・・

 

 

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感想

この世界観を理解して入り込めればすばらしい作品です。もし世界観が理解できなければ駄作と映るでしょう。主役はCharaなのか三上博史なのか伊藤歩なのかよくわからないくらい3人の印象が強烈。特にCharaと三上博史の演技は中国人のように中国語のセリフを話し、もう日本人には見えません。逆に伊藤歩は中国語が話せない中国人役ですが英語を流暢に話しています。

 

映画としてはアゲハが主役なのかもしれません。でもストーリーはグリコとフェイホンの物語。混沌とした世界で2人の物語が悲哀をもって進んでいきます。その中で渡部篤郎と山口智子が演じる謎の殺し屋が後味を変えています。賛否分かれるところでしょうか。

 

映画は豪華キャストで大きく話題になった作品です。主題歌「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」は大ヒットしてCharaの代表曲となりました。

 

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完全ネタバレ

見どころは混沌とした世界観と人気歌手として駈上っていくグリコと坂道を転がり落ちるように転落してくフェイホンの二人。ランの作った偽札に踊らされて最後はあっけなく命を落とすフェイホンがあまりにも悲しい。そのフェイホンが釈放されたあとにグリコの大きな看板を見つけるシーンが美しい、この看板を思い出しながら笑みを浮かべて死んでいくフェイホンが悲しさをいっそう引き立てる。

 

フェイホンが死んだあとマフィアに追いつめられるグリコを助けるのはランと山口智子演じるシェンメイの二人の殺し屋。この謎の殺し屋たちの無敵感は圧倒的でずるいキャラクターとも言える。最後のシーンまでこの殺し屋たちは登場する。それほど重要な役だが完全に謎の人物である。

 

ラストシーンは二人の殺し屋とリョウ・リャンキとアゲハが登場。遠い場所から橋の上を通るターゲットをライフルで狙う殺し屋たち。そこを車で通るのがリョウ・リャンキ。スナイパーの手で殺されて終わるのかと思ったところで車を止めさせる。橋の歩道を歩くアゲハを見かけたリョウ・リャンキは車から降りてアゲハに声をかける。そしてアゲハからカセットテープを渡され立ち尽くすリョウ・リャンキと立ち去るアゲハ。このあとスナイパーがリョウ・リャンキを撃ったのかはわかりません。 

 

この映画はR15+指定(15歳未満入場禁止)の制限が入っている。殺人シーン、ヌードシーンのほかに偽札製造、薬物依存、子供の犯罪シーンが多くある。ストーリー上カットできるような部分ではないのでテレビの地上波放送はできない作品。殺人シーンはかなり多くてストレートに殺される人物を描写している。ヌードはセックスシーンもあるが圧倒的に印象に残るのはアゲハの胸に入れ墨を入れるシーン。かなりの長尺でアゲハのバストを映し出している。

 

この映画の見どころの一つはグリコ演じるCharaがYEN TOWN BANDとしてステージで歌うシーン。ただこのシーンは残念ながら多くはない。

 

 

完全ネタバレ後の感想

R15+指定がつくのは当然というシーンの連続だが、岩井俊二監督独特の美しいシーンも多くあって殺伐とした映画という印象はない。美しくて悲しい映画という印象。注文があるとすればグリコの歌唱シーンをもっと見たかった。

 

歌がオリコン1位の大ヒットとなったり監督と豪華キャストで話題となりましたが映画興行としては成功とは言えなかった作品です。内容的に世界観の好みが分かれるかと思いますがすばらしい映画だと思います。テレビ放映は無いと思いますのでビデオ配信などで見てみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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