前回の続きになります。

 

 

半分も食べられなかった官弁を担当官に返却し、私は不安を紛らわせたい一心で居室内を壁伝いに歩き回り、お昼が過ぎるのを待ちました。お昼に流れるラジオが不快で、耳障りで仕方ありませんでした。

 

お昼の時間が終わって間もなく、監視室の電話が鳴りました。準備しますやらと話し声が聞こえてきたので、おそらく私のことだろうと察しがつきます。

案の定担当官に「裁判所に行くから準備して」と声をかけられ、私は動悸と呼吸の乱れに襲われながらトイレを済ませ、手錠をはめられて護送車に乗り込みます。

 

午前中とは違って、外の景色を眺める余裕もありませんでした。裁判所までの道のりが地獄の時間に感じました。

 

裁判所に到着し、護送車は建物の裏手に駐車されました。

裏の出入口から被疑者控室に連れられて、私は警察官から今後のことや私の権利などについて説明を受けましたが、この時の私は正直自分の意識を保つのに必死でした。

説明が何も頭に入ってきません。

 

説明が終わると間もなく、裁判官から呼び出しがありました。待ち時間は5分もなかったと思います。

裁判ではないので、法廷に立つわけではなく、小会議室のような普通の部屋に裁判官が2人いるだけの空間で手続きは行われました。

 

私は呼吸を乱しながら裁判官の対面に座り、名前と生年月日の確認に対し答えていきます。

 

そして勾留の申請に対する言い渡し。

 

「検察官からの勾留の申請がありましたので、その結果をあなたにお伝えします。

裁判所で確認し、この申請に対して認めることとしましたので、あなたを本日より10日間、勾留することとします。

 

地獄のお告げでした。少しでも気が緩んだら、発狂してしまいそうなほどおかしくなりそうでした。

裁判官はさらに続けて、

 

あなたには弁護人を選任する権利があります。国選弁護人をこちらで選任することが可能ですがどうしますか?」(※弁護人についてこの後説明します

 

と私に問いかけました。

今の私には返事を考えている余裕はありませんでしたので、首を横に振ってお断りしました。

 

そして最後に裁判官は、

 

あなたが勾留されることを1名に限りお伝えすることができます。お伝えしないことも可能ですが、どうされますか?」

 

と続けて私に問いかけられました。

この問いかけにだけは、私は頭を働かせることができました。咄嗟に親の顔が浮かんだからです。

 

私の精神的不調を理解し、支えてくれた親に対して最大の親不孝をしてしまった罪悪感で涙が流れました。

 

これ以上迷惑をかけたくない。私だけでこの件に向き合わなければ。

でも、どうしてもツラくて、独りでは抱え込みきれなくて。

 

気付けば私は、誰かに助けてほしい一心で裁判所にお願いし、差し出された用紙に親の名前と連絡先を書いて提出しました。

 

これで勾留の言い渡しは終了しましたが、私があまりにも呼吸を乱しているのを見兼ねたのか、裁判官が私に

「だいぶツラそうですね、すぐに警察官をお呼びしますね」

と気遣って下さり、すぐに警察官が部屋に入ってきて私を護送車まで連れてくれました。

 

裁判所から出れば安心するなんて簡単な話ではありません。

留置所に戻る道中も呼吸を乱しながら必死に耐えていると、また隣の座席に座っていた警察官が

「そんなにツラいならさぁ、私選の弁護人さんにお願いしなよ。お金はかかるけども、今あんたがお金持ってたってしょうがないでしょ。国選よりは動いてくれると思うよ?」

と声をかけてくれました。(※弁護人についてこの後説明します

 

声を出す余裕もなかったので、首を縦に振って返事をしました。

 

留置所に戻り、私は居室内で担当官から改めて弁護人についての説明を受けました。

 

当番弁護人:刑事事件の後逮捕後に、一度だけ費用がかからずに弁護人とお話しすることができる。お願いすれば、私選弁護人として契約することができる。

※ブログに登場していませんでしたが、実は2日目に私は当番弁護人さんと接見しました。のですが、提示された弁護士費用があまりに高額であったため契約はしませんでした。

 

国選弁護人自分で弁護人を雇う資力(お金)がない場合に、国から指定を受けた弁護人さんが協力をしてくれる。裁判所にお願いした場合は国選弁護人さんを指定してくれます。あくまで私が聞いた話ですが、費用が安く済む分弁護人さんは満足に動いてくれない可能性があるらしいです。

 

私選弁護人自分で弁護人を雇う資力(お金)がある場合に、自分で選んだ弁護士さんと契約することができます。これが私選弁護人さんです。弁護士費用が高額である分、接見や外との連絡など、お願いした場合に比較的迅速に動いてくれます。

 

 

護送車内で警察官の方がくれたアドバイスの通り、今の私がお金を持っていたってしょうがありません。

なので私選弁護人をお願いすることにし、担当官に弁護士事務所のリストを見せてもらって連絡をとってもらうようお願いしました。

 

留置所内のルールですが、担当官にお願いすれば弁護士さんの選定や弁護士さんに対して面会に呼んでもらうための連絡を請け負ってくれます。

 

結果、今日は日曜日でしたので私が選定した弁護士事務所はお休みでしたが、留守電を入れておいてくれたので、恐らく明日会うことになるかと思います。

 

 

午前も午後も外へ出て、常時動悸や呼吸の乱れに襲われ続けた私はさすがに疲弊していたのか、夕食もあまり食べられませんでしたが床入れ後に強い睡魔に襲われました。

 

就寝時間は21時ですが、20時半前にはウトウトしていた私に担当官が近づいてきて、1枚の紙を見せられました。

紙には「勾留状」と書かれており、「今日から起算して10日間、あなたを勾留します」のような旨が記載されていました。

 

わかりきっていた最悪の結果を改めて聞かされ、かなりげんなりしましたが、明日からは正式な留置者としての扱いを受けるみたいです。

 

官本の借用:留置所内の本を借りて、居室内で読むことができる。100冊ありますが、全て小説です。

 

入浴:毎週火曜日と金曜日に入浴ができる。一人につき20分という制限時間が設けられる。

 

面会:平日の日中に限り、外の人間と1日1回のみ、15分間、担当官の立会いの下で会話ができる。弁護士さんとの接見の場合は制限時間がなく、担当官の立会いはありません。

 

差入れ:差入れできるものには限りがありますが、外の人間から物や衣服を差入れしてもらえる。漫画や現金も差入れできるらしいです。(現金については後述します)

 

留置所内の買い物:週に2回、買い物リストから自分が欲しいものにチェックを入れて買い物をすることができる。ジュースや菓子類、洗面道具やノート、便箋など。買い物をするには現金が必要ですが、留置所に入所する時に没収された金額や差入れしてくれたお金で買い物が可能です。

 

服用している薬の処方:治療のため服用している薬などを処方してくれる。処方された薬は、決まった時間に担当官が持ってきて服用するよう指示される。

 

こんなところでしょうか。10日間はここから出られないことが確定してしまったので、一応このくらいの内容は聞いておきました。

こんな状況で不安薬が効くか心配でしたが、薬をお願いしておき、間もなく消灯時間となったので私はすぐに死んだように眠りにつきました。

親の、悲しんだ表情を思い浮かべて罪悪感と悲しみに支配されながら…

 

 

今回は説明部分が多くてかなりの長文になってしまいました。

申し訳ありませんが、ご興味ある方はお暇ができた時にでも見ていただけますと幸いです。

 

明日からは、来月に控える資格試験の勉強に専念したいので、隔日の更新とさせて下さい。試験が終わってから、また毎日更新で頑張っていくつもりでいます。

 

今日で水曜日が終わりました。あと平日2日、頑張りましょうね。

皆様、ゆっくりお休みください。