ロワール方にコルムリー(Cormery)という

古い町があります。

トゥールの少し南東に位置します。

町の名物はマカロン。

リングの形が特徴です。

フランスマカロンの歴史をたどると、

定説ではイタリアから

カトリーヌ・ド・メディシスが持ち込み、

修道院を中心に広まったとされています。

共通する材料は

アーモンド粉・砂糖・卵白。


コルムリーのマカロンも修道院で作られ、

材料も同じですが、

起源は「イタリア持ち込み説」より古く、

その形も含め

特異な立ち位置のマカロンでもあります。

マカロンを売る店の看板にも僧侶の姿。

(朝10時に行ったのにすでに売り切れ!

買ったのはこれと別のお店でした(..;))


なぜコルムリーのマカロンは

リング型なのかについて、

これまで聞いていたのは…


マカロンをもっと売るために

特徴を出そうとした僧侶が、

「最初に見たものを形にせよ」

という神のお告げに従おうとしたところ、

目にしたのが「おへその穴」だった…


…というお話です。


ところが今回買ったマカロンに添えられていた

リーフレットには別のお話が。

当時のコルムリーのベネディクト修道院長は

20歳の時に結婚を誓った女性と死別し、

悲嘆にくれて僧侶の道に進んだが、

結婚指輪だけは常に身に付けていた。

度重なる戦禍で荒廃した修道院を

立て直すための資金を作るために、

食事会を催した際に、

菓子担当の修道層がマカロンの生地を

修道院長に差し出した折に、

指輪が外れて生地に入り、

それを引き上げて焼いたところ

黄金のリング状に焼き上がり、

美味しさとその形から

好評を呼んで再建に貢献した。

…というお話。


どちらもおとぎ話的で

真相は謎ですが、

修道層という職業と

「へその穴」や「結婚」の組合せが

クスリと笑わせるほのぼのさで

おいしいマカロンの味と共に

記憶に残るお菓子となりました。