今回40年近くぶりに訪問したシャルトルは

サントル=ヴァル・ド・ロワール地方の

主要都市です。

世界遺産の大聖堂があることで有名。

「シャルトルブルー」と呼ばれる

美しいブルーの

ステンドグラスで知られます。

今回のシャルトルで

私の目的の一つは

地方菓子「Mentchikoff(メンチコフ)」。

この日はあいにく

定休のお店が多かったのですが、

それでもこのお菓子を売るお店を

ちらほら見かけました。


私が購入したのはこちらのお店です。

ティアドロップの形をした

この真っ白のボンボンは

中がプラリネのガナッシュで

周囲をスイスメレンゲで

コーティングして

乾燥させてあります。

とても壊れやすくて繊細。

口にすると「シャリッ」と音をたてて

メレンゲがほどけます。

長さは3センチくらいでしょうか?

ところでこのお菓子の名前、

フランス語ではなくロシア風。

なぜでしょう…?


このお菓子が誕生したのは1893年。

パティシエのドームニル(Dausmenil)氏の

考案と言われています。

当時のフランスは

1890年の露仏同盟により、

「ロシア風」のものが大流行。

ドームニルもこの波に乗り、

親しみを込めて

ロシア風の名前にしたようです。


「メンチコフ」は人名ですが、

そのモデルは2人いるようで、

一人はピョートル1世のもとで

出世を遂げた元パティシエ。

もう一人は

アレクサンドル セルゲイヴィッチ 

メンチコフ王子(長い・笑)で、

クリミア戦争時のロシア軍司令官。


時代的には後者の方がしっくりきますが、

真偽のほどはよく分かりません。


お菓子を考案したドームニルは、

1900年に自分の店をレシピ付きで

売却してしまいましたが、

その後もお菓子は作り続けられ、

Mintchikoffs(ミンチコフ)という

紛らわしい名前のものも登場したようです。

オリジナルのメンチコフは、

白ではなく緑のメレンゲで

覆われていたという

記述もありますが、

いろいろな店が真似して作るうちに

白いメンチコフだけが残り、

今世紀初頭には

緑色で作る店はたった一軒。

ドラクロワ通りにあったというその店も

今では無くなってしまったそうです。