二つ前の投稿で

「ロレーヌ地方は地方菓子の宝庫」

と書きましたが、

今回のナンシーでは

そのお味を求めて市内を歩きました。

お菓子を彷彿とさせる通りの名も発見!

何よりもこの町で名高いのは

「ナンシーのマカロン」です。

ここがそのお店。

16世紀にイタリアから伝わり、

フランス各地の修道院で作られていた…と

想像されるマカロンですが、

フランス革命後の修道院解散の

憂き目により、

ナンシーに逃れたマルグリットとマリーの

二人の修道女(SOEURS=修道女の意味)が

かくまってもらったお礼にと

焼いたマカロンです。

この美味しさが評判を呼び、

「Macarons des Soeurs」

(修道女のマカロン)として

今に伝えられています。

二人が住んでいた場所も残っています。

年に一度だけ公開されます。

軽くてサクッとした焼き上がり。

アーモンドの香り豊かです。

修道女をデザインした紙に生地を絞り、

このようにつながったまま売られます。


次に訪ねたのがMaison Gwizdak

お目当てはガトーロランと

ヴィジタンディーヌ。

6月のレッスンでもご紹介したガトーロラン。

こちらのものはバターケーキに

ミラベルのシロップをうってあるようで、

想像とは少し違ったお味と食感。


こちらはヴィジタンディーヌ。

冒頭の通り名にあるように、

訪問(VISITATION)修道会

(サント=マリー修道会)で

作られていたという花形のお菓子。

一説によると、

当時壁に塗る塗料に卵黄を混ぜており、

そのとき余った卵白利用のために

作られたとか。

今ではその型も殆ど流通しておらず、

細々と焼き続けられるのみとなりました。

アーモンドプードルたっぷり。

意外にかっちり焼かれています。

ガトーロラン・ヴィジタンディーヌ共に、

ロレーヌ十字をあしらっているところに

地方菓子である証を感じますね。

私的に美味しさ再発見!だったのがこちら。

「ベルガモット・ド・ナンシー」

と呼ばれるキャンディです。

15世紀にイタリア出身のロレーヌ公

ルネ2世がこの地にベルガモットを伝え、

人々を魅了したこの香りを

ドイツ人の

ジャン・フレデリック・リリーチが

キャンディに仕立てたと言われます。

アールデコ調の美しい缶に

整然と並んだ様子も素敵!

見た目はべっこう飴のように

シンプルなのですが、

口に含むとパッとベルガモットの香りが

一気にはじけます。

大人のお味の

とてもおいしいキャンディでした。


どこに行っても見かけるのが

魅惑的なフルーツ「ミラベル」

このときは

生のシーズンではありませんでしたが、

このようなシロップ漬けはもちろん、

ブランデー、キャンディや

ショコラの風味付け、

コンフィチュールなどなど、

あらゆるものに使われていました。

日本では殆ど見かけることがないので

お菓子を愛する人にとっては

一種憧れの存在ですが、

現地にいくとこんなにも豊富なことに

軽い驚きを感じます。

こちらはロレーヌのワイン。

近隣のアルザスやシャンパーニュに比べ、

流通量は少ないのですが、

Côtes de Toul (AOP)のVin Grisは

この地方ならではの1本と言えるでしょう。

直訳すると「灰色のワイン」

と言うことになりますが、

色は美しいロゼ。

主に赤ワイン品種のぶどうを

白ワインと同じ製法で造っています。

1本パリに持ち帰り、

アパルトマンで飲みましたが、

赤系のフルーツを感じながら

酸味も爽やかで、

ボディもしっかりしている印象。

キッシュロレーヌはじめ、

土地のお料理と合わせてみたかったなあ…!


今回はナンシーだけにとどまりましたが、

ロレーヌ地方にはこのほかに

有名なマドレーヌはじめ、

メッスのチョコレートケーキや

ルミルモンのロリケットなど

気になる地方菓子がたくさんです。

これらも含め、

アールヌーヴォーをもう一度堪能するために

再訪したい地方がまた一つ増えました。