先日のこと、

アプリコットとチェリーのフランを

焼きました。

グレーテルのかまどで紹介されたので

ご覧になった方も

多いのではないでしょうか?

名付けて

Flan d'abricot à la Metternich

(メッテルニヒ風アプリコットのフラン)


このお菓子、

19世紀の文豪アレクサンドル・デュマの

「料理大事典」で紹介されたものと知り、

興味がわきました。

デュマは「三銃士」を始め、

多くの小説を残しましたが、

お料理の事典も書いていたのですね!


ところで名前にある「メッテルニヒ」…

歴史上名高いオーストリアの宰相です。

お菓子の世界では、ウイーン会議に際して

お抱え料理人のフランツ・ザッハに命じて

かの有名なザッハトルテを

作らせたとして有名。

その彼が愛したお菓子のひとつが

このフランだったと言うことでしょうか?


メッテルニヒは若かりし頃

     ストラスブールで学び、

後にフランスにも大使として駐在しており、

フランスとの縁はあるのですが、

デュマとの関係は…というと

疑問符が…。

というのも、当時のオーストリアでは

書物の検閲制度が厳しく、

メッテルニヒはデュマの作品も

禁止していたようなのです。


個人的に接点があったのかは不明ですが

お料理で「メッテルニヒ風」とつく物は

魚にオランデーズソースをかけて

蒸し焼きにしたものを指すようです。

いずれにしても

食にも関わりの深い人物だったのですね。


ちなみにメッテルニヒの娘を母親に持つ

パウリーネ・フォン・メッテルニヒは

フランス社交界にも関わりが深く、

音楽を始め文化活動のパトロンとして

広く知られた存在だったそうです。

親交があった作家の中に

デュマの名もあるのが

興味深いです。

デュマとメッテルニヒと食文化…

もう少し調べてみたい気もします。

さてそのフラン、

デュマによるとフルーツの並べ方にも

こだわりがあるようで、

その事典には一つのアプリコットに対し

4つのチェリーで囲むこと…

と明記されています。

どちらのフルーツも季節外なので、

シロップ漬けを使用しましたが、

ご指示通りに並べるのは難しい(^^ゞ

焼き上がりはこんな感じです。

グレーテルのかまどによると

杏仁風味の生クリームを添えるそうで、

頂くときに合わせてみましたが、

これがまた好相性!

アプリコット・チェリー・アーモンド…

核果同士が引き立てあって、

クリームがこのお菓子を

より立体的な味わいにしてくれました。


お菓子は

いろいろなきっかけで生まれますが、

具体的な人物が絡んでくると

いろいろな想像が膨らんで

作って食べる以外の楽しみも加わりますね。