初日から横綱、大関が次々と敗れ…文字通り荒れる春場所となりました。
その中で幕内最高優勝を手にしたのは、新入幕の尊富士四股名に富士が付いていますから、言わずもがな横綱照ノ富士が所属する伊勢ヶ浜部屋です。
場所前の『どすこい研』のテーマが新入幕で、尊富士という期待される力士の名前も出ていましたが…。まさか新入幕力士が優勝するとは予想もしませんでした。
これまでも幕尻の優勝は徳勝龍が記憶に新しいと思いますが、尊富士は新入幕しかも、番付最下位の序ノ口から駆け上がってきた大器で、まだ大銀杏も結えないちょんまげ姿です。
初日からの連勝を私は、始め鼻で笑っていたのですが…。中日に竜電を破り、阿炎、大の里、琴ノ若を破った辺りから笑ってはいられなくなりました。
これは本物だと思ったからです。
決して体は大きくないですが、あの肩回りの筋肉の盛り上がりかつての大横綱千代の富士を思わせる体格。立ち合いの速さ、押していく圧力の強さ、幕内上位陣と対峙してもぶれない精神力の強さ。これは…逸材だと感じました。
13日目のアクシデントを乗り越えての今日の優勝右足の踏ん張りが効かない中の張り差し、1度目に土俵際まで追い込んだときにこれまでの尊富士なら一気に押し出せたのに、寄り戻されてしまった姿を見ても万全ではなかったことは明らかでした。
今後の力士生命を左右する怪我でしょうから無理はして欲しくないと思っていましたが、幕内最高優勝を目の前に休場するという選択肢はなかったのでしょうね。勝った瞬間、顔がほころんだのが印象的でした。
未完の大器新入幕力士の優勝は何と110年ぶりだそうです。歴史的瞬間に立ち合えたことに興奮を隠せません。
これからどんな力士に成長していくのか楽しみです。
私の贔屓にしている若元春は9勝に終わりました。序盤横綱に勝ち、強さが漲っていたのですが、取りこぼし…というか格下相手にちょこちょこ負けるのが本当にもったいない大関目指して頑張って欲しいと思います。
また大の里はこれからの大関、横綱候補
横綱稀勢の里を思わせるような立派な体格。どんなことにも物怖じしない精神力。ここ2場所優勝争いにずっと絡んできています。頭が良い人なのでしょうね。インタビューの受け答えも自分の言葉で語れますし、何よりポジティブそのメンタルが今後に繋がるのだと思います。
大荒れの春場所は終わり、次は夏場所です。
4月末に番付発表があります。大の里は三役に上がれるでしょうか、朝乃山も三役に戻ってくるでしょう。今から5月が待ち遠しいです。