某デパートで北海道物産展が行われていた。
昆布とかすっぱくて塩辛いニオイにあふれて
きちがいのような眼をして買い物をたしなむ
おばさんたちの熱気と一緒になって
目眩がして気持ち悪くなった。
昼ごはんの弁当を嫁と一緒に選ばなくてはならなくなり
蟹とかいかにも北海道らしい弁当をさっさと買おうと思って
ちっちゃな弁当を売っている屋台にいくと
プラスチックケースに反射しているきれいなイクラの入った弁当が
たくさん並んでいた。
値段を確認しようと申し訳なさそうな字で書かれている値札を見ると
「蟹工船弁当」 1575円 といばったように書いてあった。
申し訳なさそうな字でなぜ威張る必要があるのだろうか。
小説の蟹工船はすばらしい小説だ。
資本家と労働者、僕は共産主義者ではないので
そこらへんについては何も言うことはないが
糞壷のニオイがとてもリアルでこれでもかとニオイのキツイ小説なのだ。
腐った蟹と腐った人間の汚物が混ざった物語だ。
さすがの僕も「蟹工船弁当」には嘔吐をもよおしたので
蟹と海老と帆立とウニとイクラが入った「漁師弁当」 2150円にした。
蟹工船弁当とほぼ同じ中身だったがそれなりにおいしかった。
帆立の刺身が入っているかいないかだけが違いのようだった。
夜は友達からもらった韓国人の手作りタレをつけて焼肉を食べた。
胃の中で腐敗している蟹のニオイが中和されていくように感じた。
- 蟹工船・党生活者 (新潮文庫)/小林 多喜二
- ¥420
- Amazon.co.jp