天国について想像してみる。
ぽかぽか陽気の中、
僕はうとうと昼寝している。
横には体を丸めて寝る猫がいる。
猫の寝息と温暖な大気が時折、
ひんやりすっきりする風を僕に運んでくれ
目の前に広がる景色を楽しませてくれる。
大きな野原から海も山もすぐ目の前に見えている。
海に行こうと思えばすぐ行けるし
山に行こうと思えばすぐ行けるのに
僕はなんとなくいけないように感じる。
だから昼寝をし続ける。
植物や空気の良いにおいが心地よい。
フリスクのベリーミント味のような
ほのかな甘い香りだ。
天国にエッチは存在しない。
天国の美しさには釣り合わないし適わない。
どんよりとした欲望の渦はありえない。
誰かの気配があるので誰かいるはずだ。
でも僕はだれとも会いたくない。
怖くて会えない。
遠くから恐る恐るそのヒトに近づいたら死人の顔だった。
真っ青な顔が僕になにかを訴えている。
天国は美しすぎる。
だから僕は猫と昼寝を続ける。
地獄の夢を見る。怖くて目を開けたくない。
台風のような風と雨で揺れ狂う林の中に
視線を感じ、美しい女性の目がこっちを見ている。
僕は吸い込まれるようにその女性の目を見つめる。
見失いそうだったが、目が慣れてきたのでじっと焦点を合わせてみる。
数え切れないくらいの美しい女性たちの目が林の中にある。
僕は不安になっていく。たまらなく不安がひろがっていく。
その不安に僕は耐え切れない。
どこへ逃げていいのかわからない。
怖すぎてこの現実から逃避するしかない。
逃避すると逃げることが怖くなって
逃避することも怖くなった。逃げることが怖いことが怖くなっていく。
その怖がっていることに恐怖を感じる。
そして僕は目を覚ます。
猫は横にいない。
天国についてもう一度想像してみる。