— Hatchet (@0x6861746366574) 2023年5月16日
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DeFiやNFTのコミュニティが巨大化するにつれ、分散型プロトコルをいかに統治するかが重要になってきている。しかし、ガバナンスを実現するためには、ネットワーク参加者がすべての決定に対して投票する必要があるため、大きな調整コストが発生します。このような調整コストは、スマートコントラクトによって参加者が協調的に統治する新しいタイプの分散型ネットワークで根本的に削減することができます。この新しいネットワークはDAO（分散型自律組織）と呼ばれ、一致したインセンティブと共通の利益を持つ人々の集まりで、一人のリーダーや単一障害点がなく、ほぼ完全にコードによって運営されています。この構造を使って、多くの新しいプロトコルが構築されています。これまでのところ、オープンファイナンスベースのシステムで多くの活動が行われていますが、最近では、美術品やその他の収集品を購入・取引する文化ネットワークでも増えています。多くの点で、DAOは投資銀行、企業、ソーシャルクラブの一部を暗号化されたコミットメントでつなぎ合わせたものと見なすことができる。DAOが効果的に管理されるように誰かが意思決定の枠組みを作り、DAOが成長できるようにネットワーク参加者に金銭的なインセンティブを与える必要があるのです。DAOの創設者と参加者には、多くの疑問があります：どのような決断が必要なのか？どのような金銭的インセンティブを用いることができるのか？DAOはどのような条件で設立されるべきか？現在、必要とされている主なガバナンスのタスクは何だろうか？それらに答える前に、もう一つの質問、つまり、我々はどのようにしてここにたどり着いたのだろうか？- という問いを立て、DAOの発展過程を簡単に探ってみましょう。これにより、この半世紀で分散型構造がどのように形成され、変化してきたかを見ることができ、金融インセンティブが来るべきDAOガバナンスの時代において重要な要素である理由を説明するのに役立ちます。
・実験が現代のDAOへの道を切り開いた
このようなインターネットネイティブな組織について、世界が初めて耳にしたのは2016年のことでした。"The DAO "と呼ばれた最も有名な初期のDAOは、クラウドファンディングの合理主義的な形態、つまり分散型ベンチャーファンドのようなものを目指した集団投資ビークルで、コードで運営されるこのような分散型組織がどのように自己統治できるかを最初に垣間見ることができた。参加者はThe DAOにETHを供給し、DAOトークンを受け取る。このトークンは、DAOの経済的利益と議決権を表すものでした。DAO の夢は、国庫への貢献度の大小にかかわらず、参加者がイーサリアムのエコシステムで大きな報酬を得られるようにすることでした。スマートコントラクトの重大なバグにより、DAOコントラクトの資金が攻撃者によって流出し、DAOという言葉が使われなくなり、2017年以降の弱気相場と重なる「DAOの冬」が到来しました。期待が薄れ、注目されなくなったこの時期、ガバナンスに関するいくつかの重要な実験が、現代のDAOへの道を切り開いた。その第1は、セキュリティの問題に取り組んだことだ。ユーザーが資金が消えることを心配していては、ネットワークは機能しないし、ましてや成長することもできない。まず、TezosのようなEthereumの競合他社は、開発者がDAOの問題を簡単に回避できるよう、より安全なスマートコントラクト・プログラミング言語を約束しました。イーサリアムでは、Aragon、dxDAO、Kleros、Molochといった多くの実験が登場した。これらのDAOの実装は、より優れたプログラミングの標準と、新しいトークン配布メカニズムの実験をこの空間にもたらしました。セキュリティ上の懸念が軽減されたことで、初期のDAOに共通する最大の問題は、DAOの業務への高い有権者の参加を促すインセンティブモデルを見つけることができなかったことです。情報に基づいた意思決定を行うために必要な専門知識を持つ有権者の参加がなければ、DAOのガバナンスは停滞した。
・金融インセンティブの台頭
近年のDeFi（分散型金融）の台頭により、銀行などのレガシーシステムに依存しない、より洗練されたオープンファイナンスシステムやツールの扉が開かれました。こうしたシステムへの参加を促すために、金銭的なインセンティブを利用した新しいDAOが登場し始めた。金銭的なインセンティブがなければ、ネットワークのメンバーは、自分の時間、お金、エネルギーをネットワークに注ぎ込む理由も、ネットワークを改善する提案に投票する理由も、ネットワークの継続的な成長と成功にまったく関心を持つ理由もないのです。ここでは、いくつかのタイプのインセンティブと、その形成における重要な出来事を紹介し、ビルダーが、どのようにしてここまで来たのか、いつDAOが必要になったのか、インセンティブがガバナンスにとってどのように重要なのか、そしてDAOを効果的に統治するための戦術を理解する助けとします。
・成長のインセンティブ
2020年6月、オンチェーンレンディングプロトコルであるCompoundが分散化され、コア開発者がネットワークの運営と所有権をコミュニティに譲り渡したことが、重要な進展となりました。それまでのDAOとは異なり、Compound Governance DAOは、借り手からの手数料で発生するプロトコルの準備資産をコミュニティメンバーに管理させた。このキャッシュフローは、オンチェーンプロトコルとして過去最高の収益となりました。Compoundは、プロトコル内の資本成長を促すと同時に、ユーザーにより良いローン価格を提供することを目的とした新しいトークン配布モデルを考え出しました。このモデルでは、プロトコルに流動性を提供し、プロトコルから融資を受けたユーザーに対して、コンパウンドのネイティブトークン（COMP）を継続的に配布しています。コンパウンドのすべてのユーザーは即座にステークホルダーとなり、中には積極的な貢献者や有権者になる人もいた。こうした金銭的インセンティブは、必要証拠金や金利といった重要なパラメーターをコントロールする上で極めて重要だった。コンパウンドの流通は、プロトコルのユーザーによるプロトコル（とそのキャッシュフロー）のコントロールという、分散型の夢の一端を垣間見せてくれるものだった。参加者は、ネットワークの成長と成功が個人的な利益につながるため、自分の時間、資産、投票によってネットワークの最善の利益のために行動する明確な理由があるのです。
・イールドファーミング
投資家や開発チームだけでなく、プロトコルの利用者に与えられるガバナンス・トークンの配布が発展したことで、多くの新しいモデルが生まれる設計空間が生まれました。まず、プロトコルに様々なインセンティブを与えるアクション、"イールドファーミング "が生まれました。Yield farmingは、ユーザーが貸し借りやステーキングなどの資産流動性を提供するアクションを行うことで報酬を得るもので、その報酬はプロトコル自体の所有権の一部を表すトークンという形で提供されます。受け取った人は、その所有権を蓄積してプロトコルの価値の上昇を期待するか、あるいは公開市場で売却することで、行動を複合化し、利回りを上げることができます。例えば、大手銀行が、預金するたびに自社株の一部をプレゼントしてくれたら、預金しやすくなり、自分にとっても銀行にとっても良いことだ。このように、CompoundはCOMPを利用して成長のインセンティブを与え、利回りが約束されることでより多くのユーザーを引き寄せ、プロトコルに投票し貢献するインセンティブを持つユーザーベースを作ることができた。イールドファーミングによって新しいDeFiプリミティブに資本を集めることができると開発者が理解すると、2020年の夏には、DAOガバナンスのトークン配布によってDeFiプロトコルを成長させる競争が繰り広げられた。この夏の成長のきっかけとなったのは、DeFiイールドアグリゲーターのYearn Finance（YFI）のローンチである。YFIが立ち上がり、急成長を遂げると、多くの競合他社がクローンや模倣品を発表し、わずかな改良を約束したが、より重要なのは、新しいDAOガバナンストークンである。YFIは、ガバナンスの約束だけでネットワークの採用を後押しできることを実証した。フェアローンチモデルと、理想的な未来のユーザーをターゲットにした初期トークン配布の利用は、その後、一般的になりました。
・遡及的なエアドロップ
新しいプロトコルは、このようなモデルをベースに、ユーザーにさらなるインセンティブを与えるようになりました。その代表的な例がエアドロップ、つまり現在または過去のユーザーのウォレットにトークンを配信することで、認知度を広めたり、所有権を確立したり、初期のユーザーに過去にさかのぼって報酬を与えたりすることです。例えば、分散型取引プロトコルのUniswapは、UNIトークンを発行し、Uniswapプロトコルを利用したことのあるすべての人に遡及的に付与しました。このエアドロップにより、一部の初期ユーザーは数千万ドル相当のUNIを獲得した。さらに重要なのは、このエアドロップとトークン発行が、市場シェアを獲得しようとする新しいDeFiプロトコルに必要な、効果的な資本保護武器であることが判明したことです。トークン発行の増加は、ガバナンスパワーの変化にもつながり、参加によってガバナンス権を得られるとは思っていなかった初期のユーザーが、ネットワークの大部分を所有し始め、それによって分散化を促進することになったのです。遡及的なエアドロップは、トークンの配布とアクティブユーザーからのガバナンス参加を増やすためのツールとなったのです。
・文化的なDAOとゲーミングギルド
上記のような金銭的インセンティブの開発は、昨年におけるDeFiプロトコルの急激な成長に貢献しました。しかし、異なる文化、インセンティブモデル、ガバナンス構造を持つ他のタイプのDAOも出現しています。最近、私たちは、（DeFi DAOとは異なり）利用や参加に結びつかないトークン配布モデルを持つDAOが台頭しているのを目にしました。これはコレクターDAOで、アートやその他のデジタルアイテムを集団で購入することを決定する人々で構成されています。その一例がPleasrDAOで、Uniswap V3のローンチのためにpplpleasr（旧姓Emily Yang）が作成した記念ビデオの作成をきっかけに結成されました（私はPleasrDAOの創設メンバーです）。その映像は2020年のDeFiの精神を捉えた象徴的なアートとして注目されました。その映像のためにNFTが鋳造され、オークションにかけられ、収益はチャリティに寄付されました。このオークションとアートワークにまつわる集団的な倫理観から、長年DeFiを支えてきた開発者や起業家たちが、アートを購入するためのDAOを創設しました。PleasrDAOの前進は、NFTを分画する独自のメカニズムで、1つのアートワークの集団所有がより現実的になったことです。このビジョンは、DAOをMoMAのような美術館、ただし、美術館内のすべての作品をパトロンが集団所有できる美術館として描いています。2020年秋に誕生したもうひとつの文化的に重要なコレクターDAOは、FingerprintsDAO（私もメンバーです）です。PleasrDAOとは異なり、FingerprintsDAOはジェネレーティブアートとオンチェーンアートのコレクションを構築することに重点を置いています。NFTベースのジェネレーティブアートは、所有権が変わるたびにアートワークが変化するのが特徴で、例えば$HASH（Proof of Beauty）のように、アートワークが転送されるたびにブロックチェーンの状態の関数として基礎となるメタデータがランダムに変化するアートワークがある。FingerprintsDAOはそのようなアートワークを収集し、Autoglyphs、Bitchcoins、0xDEAFBEEFの最大級のコレクションを持っています。FingerprintsDAOとPleasrDAOはDAOガバナンストークンを利用して、財務管理、資産売却（分売による収益を含む）、資産キュレーションのために活用しています。DAOのトークン保有者は、これらの問題について投票する権利を持ち、多くの場合、これらの投票の結果は、FractionalやUniswapなどのDeFiプロトコルを使用してアルゴリズム的にオンチェーンで直接実行されます。コレクターDAOのトークン配布は利用や参加と連動しておらず、金銭的なインセンティブも一般的なDeFi DAOのように一致していないため、初期のDAO主催者はDAOを効果的に運営するためにますます大きな責任を負うことになり、DAOメンバー間のダイナミクスも複雑化することがあります。このアラインメントの課題は文化系DAOに特有のものであり、この分野の構築者はDAOを効率的に運営するために様々なタイプのガバナンス戦術を用いるべきです。1つの方法は、コレクターDAOがDAOガバナンストークンを用いて直接インセンティブを受けるフルタイムのエンジニアやプロダクトマネージャーを雇用することです（同時にこの組織構造がDAOの分散型ガバナンスと運営を維持していることを確認してください）。DAOのために働く人々がDAOの資産からより多くのシェアを得られるようにすることで、初期のトークン所有者とDAOの日常的な管理に携わる人々との間に安定した均衡を作り出すことができます。独自の文化、インセンティブモデル、ガバナンス構造を持つDAOの最後のタイプは、ゲームギルドであり、ゲームクラン（基本的にチームとしてプレイするプレイヤーのグループ）をDAO化したものである。この分散型ギルドは、ゲームアイテムやコレクターズアイテムを集団で所有し、その使用法や売却時の収益を共有する。従来のゲーマーギルドとは異なり、Axie Infinityのようなゲームに見られるプレイ・トゥ・アーンの仕組みは、参加者間の協力的な戦略や収益の共有を促すことができます。このような仕組みにより、ネットワークに参加することで報酬を得ると同時に、ネットワークの将来性を高めるというDeFi DAOに近いものとなっていますが、現時点では、ネットワークのガバナンスは純粋な財務指標に縛られず、ゲームパフォーマンスやソーシャル指標に縛られたものとなっています。これらのDAOは、進化するにつれて、他のDAOでは使われていないような方法で分散化を高める新しいメカニズムを見つけるかもしれないので、注目すべきです。
・DAOが必要とされるとき
DAO全般の成長と、最も革新的なもののいくつかの大成功は、必然的に、成長と強固なネットワーク参加へのルートはDAO構造を必要とするという認識に帰結します。活気に満ちた時代には、2017年にICOブームの暗号トークンで見られたように、市場の力によって、あらゆる組織、コミュニティ、プロジェクトにDAOが必要だと思い込むことが容易になる。しかし、それは必ずしも真実ではありません。DAOが最もうまく機能するのは、キュレーション、セキュリティ、リスクに関連するガバナンスの負担を、すべての決定事項に対する投票にメンバーを参加させる必要性に伴う調整コストの自然な増加よりも早く軽減できるときです。だからこそ、プロトコル構築者は、DAOを形成するかどうかを決定する際に、組織の真の目標を評価することが重要なのです。すべてのDAOに共通するガバナンス領域は次のとおりです：
①集団的な資産の所有と管理DAOの財務とバランスシートは、資産と負債、流動性、収入、財源をどこに配分するかなどを考慮し、分散型企業のように機能する必要があります。
②資産のリスク管理。ボラティリティ、価格、その他の市場の状況により、継続的な監視が必要です。
③資産のキュレーション。収集した美術品から貸し出しの担保まで、すべてのDAO資産は、キュレーションに関する目標とプロセスから利益を得ることができます。
DAOを設立するのは、これらのガバナンス領域のすべてがコミュニティによって要求されることが明らかな場合に限られるはずです。DAOはこれらの活動のサブセットに焦点を当てるかもしれないが、実際には3つの機能すべてを提供する必要があることに注意することが重要である。例えば、文化的なDAOがある資産を所有し、そこから突然収益や利回りを得る機会を得たとします。その時点までリスクマネジメントを完全に無視していたとしても（例えば、資産のキュレーションだけに集中していたとしても）、そのような売却の際にはこの課題に直面する。このような出来事の最も顕著な例の1つは、PleasrDAOによる$DOGトークンの2億2500万ドルの売却で、これはオリジナルのDogecoinミームNFTの分数化された所有権を表していました。この時点まで、PleasrDAOは資産のキュレーションにのみ焦点を当て、リスク管理の問題は無視していました。SushiのMisoプラットフォームを通じてトークンをローンチしたことで、特に分数化されたNFTの市場構造が初期段階にあるため、グループはさまざまなトークン配布の仕組みや経済学について学ばなければなりませんでした。また、地域開発基金を設立することで、地域住民がNFTの真の所有権を感じられるようにする必要がありました。ここで重要な教訓は、DAOは活動の変化に応じて、新しい集団的スキルやガバナンスプロセスを追加する必要があり、成功したDAOは欠点をすぐに認識することができるということです。
・3つの重要なガバナンス領域
成長したDAOは、そのコミュニティが、3つの重要なニーズのすべてについて、ガバナンス構造を要求する段階に達する可能性が高い。以下では、構築者/プロトコル開発者が、成功するDAOを構築したい場合、どこに焦点を当てなければならないかを明確に識別できるように、それぞれの詳細な内訳を共有します。
・集合的な資産管理
すべてのDAOは、DAOスマートコントラクトが保有するガバナンストークンと、ガバナンストークンを購入するための資産という形で、いくつかの初期資本を投入されます。例えば、DAOが1,000ガバナンストークンの鋳造から始まり、そのうちの500を100ETHでジェネシスメンバーに販売する場合、DAOの初期金庫は500ガバナンストークンと100ETHで構成されています。しかし、DAOがユーザーや蓄積されたキャッシュフロー（例：Compound）で成長するにつれて、コミュニティは企業のように資本を管理することが重要になります。コーポレートガバナンスのベストプラクティスはDAOに適していますが、プライバシーが低いという難点もあります。
・リスク管理
DAOのバランスシートは一般的にリスク資産で構成されているため、将来の運営資金を確保するためにDAOの通貨エクスポージャーを管理することがますます重要になります。多くのDeFiおよびNFT DAOは、数億ドルから数十億ドルの資産で構成される宝庫を有しています。これらの資産は、開発や監査のための資金、基礎となるプロトコルが故障した場合の保険の提供、ユーザーの成長と獲得のための支出に使用することを目的としています。これらの目標を達成するために、DAOは「資産価格が95%下落しても大丈夫なのか」「保有資産にX%の利息をつけても価値の高いNFTを購入できるのか」といった特定の指標やKPI（重要業績評価指標）を満たすように資金を管理する必要があるのですが、最近の例で、これが実際にどうなっているのかをご紹介します：分散型金融市場プロトコルであるAaveのネットワーク参加者は先週、オラクルのミスプライシング問題（CREAM Financeで1億3千万ドルの利益を得た問題）により、プロトコル内でxSushiを担保として使用する際の潜在的脆弱性を特定しました。Gauntletは、脅威を評価するためにシミュレーションを行い、現在の市場環境では潜在的な攻撃者が通貨を操作することに成功することはできないことを発見しました。さらに、Gauntlet社はAaveガバナンスにおいて、リスクを軽減するために特定の種類の借入を無効にする提案を行い、参加者の圧倒的な賛成を得た。(AaveのDAOはGauntletのクライアントです）ここでは、3つの重要なガバナンスの力学が働いていることがわかります。潜在的な脅威に敏感な財政的に整ったコミュニティ、脅威の本質を評価するモデル、必要な変更を行うためのガバナンスプロセス（セキュリティへのバイアスがかかる）です。
・アセットキュレーション
アセットキュレーションの最も自然な場所は、PleasrDAOのようなNFTコレクションDAOです。これらのDAOは自然にアートや文化のキュレーターとして機能し、DAOガバナンストークンはアセットの追加や削除の投票に利用される。しかし、DeFi DAOもしばしばこの問題に直面します。Uniswapのように、誰でも新しいアセットでトレーディングプールを作ることができるなど、許可なくアセットを追加できる仕組みもあるが、レバレッジが効く他の仕組みは同じことができない。特に、AaveやCompoundのような貸出プロトコルは、どの資産を追加・削除できるかを決めるためにガバナンスを利用しています。これは、各アセットに対して、必要証拠金、金利カーブ、保険料などの多くのパラメータを選択する必要があり、その決定はプロトコルの安全性にとって極めて重要だからです。何が問題なのか、簡単な例を挙げてみましょう。新しい資産であるTarunCoinを鋳造し、私がTarunCoinの供給量の100％の所有者であるとします。ここで、私がTarunCoinの価値の100％を借り入れることができる貸出プールを作るとします。もし私がTarunCoinの価格をUSDにコントロールすれば（例えば、私が唯一の流動性供給者であるUniswapプールを通して）、TarunCoinの時価総額を非常に高くし（例えば$100M）、TarunCoinに対して$100M USDで借りることができます。しかし、TarunCoinの流動性がほとんどないため、私のローンが必然的にデフォルトになると、私に1億ドルを貸すために資産をプールした貸し手が損失を被ることになります。この例は、トークン配布、流動性/価格操作の容易さ、過去のボリュームなどの観点から測定した資産の質が、レバレッジを利用するDeFi DAOにとって重要であることを説明しています。このようなDAOの多くは、不利なイベントが発生した場合に貸し手に返済するための暗黙的または明示的な保険金としてガバナンストークンを使用しているため、そのようなDAOは、どの資産を認め、それらの資産のパラメータがどのように選択されるかに注意することが重要である。この空間が進化するにつれて、保険商品がDeFiにおける資産キュレーションに必要なガバナンスの介入を改善・軽減するのに役立つと思われます。
・DAOを運営する方法
自然なフォローアップの質問として、「私たちのコミュニティがこの3つのタスクを実際に行うにはどうしたらいいのでしょうか？私たちのコミュニティはXにしか関心がありません。"DAOが成熟するにつれ、分析や監視を自動化し、慎重な資産やパラメータの選択を支援することで、DAOメンバーの負担を軽減することを目的とした企業やプロトコルのエコシステムが増え続けているのです。そして、DAO内の複雑さを軽減し、より効率的にリソースを割り当てることができる戦術が存在します。ここでは、DAOが取ることのできるステップをいくつか紹介します：
・ガバナンスツールの活用
まず、コミュニティがDAO（および潜在的には関連プロトコル）のリスクを市場条件の関数として可視化し、DAOメンバーが、例えば担保/マージン要件の削減や金利の引き上げについて投票することの意味を理解できる定量ツールが登場した。これにより、DAOのトレジャリーが保有するリスクレベルに対する透明性が高まり、コミュニティは特定のKPIを満たすためにトレジャリーの構成を更新することができるようになります。例えば、レンディングプロトコルのAaveとCompoundが保有する数十億ドルの資産は、効果的に基礎となるレンディングプロトコルの保険のバックストップとして機能します。例えば、大規模な価格変動により多数のローンがデフォルトし、プロトコルの貸し手に損失が発生した場合、これらのDAOは、貸し手を救済するために資金を使用できます（例えば、Compound DAIの清算イベント参照）。担保要件などのプロトコルのパラメータを調整することで、DAOがそのようなバックストップイベントに国庫を使わなければならない可能性を減らすことができます。以下は、さまざまなAave市場のリスクを監視するためのライブダッシュボードの例です。(情報開示：私はこれらのサービスを提供するGauntletの創設者兼CEOです）。リスクを定量化するためのツールには、アルゴリズム取引やAI（AlphaGoなど）で使用されるツールを組み合わせたシミュレーション・ツールがあります。
