人っていうのは、たまに「愛されてる」とか「大切にされている」確認することで、充電出来るようだ。


 昌君の奥様は、突然の僕の訪問にもかかわらず、洋食のフルコースで もてなしてくれた。

  よくこれだけの準備が出来るモノだヽ((◎д◎ ))ゝ

    前菜《3種》 → パスタ → ビーフの煮込み → デザート まで

 彼女に言わせれば、「今晩のメインは もう作ってあったし、後は常備菜をそれっぽく盛りつければ

              こんな感じに」出来るらしい・・・

 僕達より少し年上の小柄で口数の少ない女性だが、出来ないコトなんかあるのか・・・・

   と思うほど「多才」な人である・・・


 こんな時間まで色々なコトを話したが、結局のところ僕の人生相談になってしまった。

  人生相談と言っても「結婚」のことである・・・


 昌君は 相変わらず僕に結婚を勧めたが、

  何故か親父さんは 「その気になるまで焦るな」 と言って下さった・・・もう四十路になろうという男に・・・笑

 その理由が 「とても素敵だ」 と感じたので、書き留めておくことにする・・・・・


   親父さん「アダムとイヴの話を知っているか?」と尋ねられた。

       「ええ、禁じられた木の実を食べてしまって、エデンを追放された話ですね・・」

         「あれは、最初にイヴが騙されて食べたんだよ・・・」

         「そうなんですか・・」

         「アダムはイヴに勧められた時、食べたら死ぬと知っていて食べたんだ・・どうしてだと思う?」

         「・・・・・・・さぁ・・・分かりません・・・」

         「じゃぁ、説明しよう・・・

         神が最初に創造した人間はアダム一人だった・・

         神はアダムに 動物の名前を付ける仕事を与えた

         名前を付けるために動物を観察していて気づいたのが・・どの動物もつがいだった・・ということだ

         そこで初めてアダムは自分も妻が欲しいと思った訳だ・・・

         アダムが妻の必要性を感じた時に神は、イヴを作られた・・・・アダムの骨からね・・・

         だから、アダムとイヴは一体 夫婦は一体だと言うんだよ・・・・」

         「へぇ・・・・・・・」

         「その後アダムにとって唯一の女性が してはいけないコトをした・・・木の実を食べたわけだ・・・

         アダムは、正しいコトではなく、妻を選んでしまった・・・・

         太郎・・この話をどう思う?

         「男は女に弱いという事ですか?」

         「んー・・・そうだなぁ・・本当に大事な女性の前では 男は善悪の判断が出来なくなる程

         感情に振り回される・・ということだと思うよ・・・・・・

         だから太郎がそう感じる迄・・・・待ちなさい・・・

  

   その時、聞き役に回っていた昌君の奥様がそっと・・

         「・・私もそう思う・・相手が待ってくれる人なら、待ってて貰いなさい・・・

         待てないと言われて、太郎さんに引き留める気がないなら・・・・別れなさい・・・大丈夫よ・・・」

     と言って下さった・・・


   昌君は、じぃーっと聞いていて、黙って僕を見ていた。


 僕は何も言えなかった・・・・


    だけど、男って思いのほか弱いモノだと 改めて感じさせられた。  そんな夜だった・・・