映画「犯人に告ぐ」とタロットカード ~人生で同じ失敗を繰り返さないためには~ | さざ波スワン ~タロットと旅する~

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タロットカードが最も効力を発揮するのは、自分が現状を変えたいと思った時だと言われます。
この「現状を変える」というのは、例えば、何らかの方法で他人の行動を変えることではもちろんありません。
変わらない現状に対して、自分が異なった取り組み方をすることで、それまで動かなかったものごとを動かしていくといった感じです。
異なった取り組み方をするには、そもそも以前とは異なった視点を持つ必要があり、タロットカードはその異なった視点をくれるツールであるというわけです。

例えば、ウェイト=スミス版タロットの大アルカナから、「死神」、「隠者」、「司祭」の3枚のカードを取り上げてみます。

 

死神

 

隠者

 

司祭


ごく簡単にそれぞれのカードの意味を記すと、「死神」は古い考えを捨てること「隠者」は自分の内面を見つめ直すこと「司祭」は良心を指標とすることと言ったらよいでしょうか。
これら3枚のカードを並べただけでも、そこに何か大きな人生の転機が隠されているような気がしませんか?
今回は、この3枚のカードがよく分かる一本の映画をご紹介したいと思います。
それは豊川悦司さん主演の「犯人に告ぐ」というサスペンス映画です。
まずは簡単にあらすじをご紹介します。

 


 

神奈川県警本部の警視だった巻島(豊川悦司)は、児童誘拐事件の取引現場で指揮を任されていましたが、キャリア組の上司である曾根や部下の判断ミスにより、犯人を取り逃がしてしまいます。
誘拐された児童は遺体で発見され、巻島は曾根から捜査失敗の責任を押しつけられて、批判が殺到するマスコミ会見を一人で担った挙げ句、足柄署に飛ばされてしまいます。
事件から六年後、巻島は本部長に昇進した曾根から本部へ呼び出されます。
巻島を現在有力な手掛かりのない連続児童殺害事件の捜査責任者としてテレビのニュース番組に出演させ、視聴者に情報提供を呼びかけさせるというのが曾根の思惑でした。
「成功すれば本部へ戻るチャンスだ」と言って巻島を説得する曽根ですが、実際は二世のキャリア警視である植草に事件解決能力がないことを見越してのことでした。
巻島は植草の指示を無視して、ニュース番組の生放送中、犯人に対して直接自分と対話するよう訴えかけます。
テレビ局には抗議が殺到したものの、視聴率は好調で、数多くの情報が寄せられるなか、とうとう犯人を名乗る人物からの手紙が巻島たちの元へ届くのでした……。


あらすじはここまでにしておきます。
物語は単純な犯人探しに終始するのではなく、巻島という一人の人間の生き方にスポットライトを当てながら進んでいきます。


最初の誘拐事件で巻島は、自分たち神奈川県警の手柄を重視する曾根の指示に従って警視庁の捜査員を排除してしまい、それが捜査失敗の一因を作ってしまいました。
なぜ巻島が不適切とも思える曾根の指示に従ったかというと、キャリアではない自分が出世するためには曾根の言うとおり、捜査上ベストな選択肢よりも、自分たちの手柄を優先させることに重きを置くべきだと判断したからです。
しかし、その判断は結果的に、捜査の失敗を招き、大切な人命を失わせたうえに、望んでいた出世の道まで閉ざしてしまいました。
その後、巻島は、本部と違って凶悪犯罪もめったに起らない、どこかのんびりとした足柄署で真面目に六年間の勤務に就きます。
おそらく、その間に巻島はいろいろなことを考えたはずです。
だからこそ、本部から呼び出されて、曾根から再び、「本部に戻るチャンスだ」などとにんじんをぶら下げられても、その言葉に容易には乗らず、事件を解決することを第一の目標に掲げたのでしょう。

日々あくせく生きていると、ともすれば目に見える利益ばかりを追ってしまうのが人間なのかもしれません。
そうやって利益を追い求めていたはずなのに、どういうわけか逆に不利益を被ってしまった時、私たちは初めて自分の心と向き合うことを考えたりしないでしょうか。
最初は自暴自棄、自己嫌悪のようなネガティブな感情に振り回されても、その後、上手くいけば、より深い内省モードに入っていけることがあります。
劇中の巻島の心の変化には、「死神」、「隠者」、「司祭」のカードがぴったりと当てはまります。
出世第一という考えを捨て(「死神」)、足柄署で地味ながらも心通じ合う同僚と真面目に勤務する日々を送りながら(「隠者」)、市民を犯罪から守ることこそが自分の使命であるという揺るぎない信条に辿り着く(「司祭」)のです。
本部のキャリア組は依然として自分たちでは何もせず、ただ偉そうにふんぞり返っているだけです。
都合の悪いことは全て部下に押しつけ、部下の手柄は平気で横取りするといった現状は全く変わっていません。
しかし、巻島は以前とは違った自分で捜査に臨みます。
捜査が成功するかどうかは置いておいて、少なくとも、以前と違う巻島は以前と同じような失敗は繰り返さないと言えるのではないでしょうか。

 

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