魔術系タロットカードと無意識の世界 後編 | さざ波スワン ~タロットと旅する~

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タロットの話題を中心に、音楽、映画、本、アートなど、様々なことをおしゃべりします。毎週日曜の夜8時にワンクリック占いを投稿しますので、ぜひお試しください。

この記事の前編はこちらです。

 


ウェイト=スミス版タロットの大アルカナ、8番「力」から18番「月」までは、自分の無意識に意識的になるための各段階を表しているとも言えるというお話でした。

 

さて、皆さんは塚本晋也監督の「悪夢探偵」という映画をご覧になったことはありますか?
まず、ネタバレなしで、簡単にあらすじをご紹介したいと思います。

 


警察のキャリア組である霧島慶子は自らの希望でデスクワークから現場担当の刑事になったばかり。
担当することになったのは、現場の状況から考えて自殺だと考えるのが妥当なはずのに、どこか不可解な点の残る二つの事件でした。
亡くなった二人の人間に共通するのは、まるで夢の中で誰かに殺されたかのようであることと、亡くなる前に0という人間と携帯電話で話していたということ。
そこで、警察は裏ルートからの捜査として、他人の夢に入り込むという特殊能力を持った青年・影沼京一に協力を求めることにします。
慶子の良き理解者である若宮刑事が0とコンタクトを取り、彼の夢の中へ影沼が入り込む作戦が決行されます。
夢の中で若宮刑事は、これまで自分自身を偽ってきたことを告白し、この世から消えたいという願望に目覚めます。
すると、どこからか激しい衝撃音が鳴り響き、禍々しい何かが若宮刑事めがけて突進してきます。
鋭い刃物によって切りつけられた若宮刑事は恐ろしくなって逃げ出します。
そこへ若宮刑事の夢に入り込んだ影沼が現れますが、彼もまたその何かに切りつけられ、仄暗い水の底へと落ちていきます。
現実の世界で、若宮刑事は何度も自らを切りつけ、命を落とします。
慶子は0を捕まえるべく、今度は自らをおとりにすることを決心します。


と、あらすじはここまでにしておきます。


この0という厭世的で狂気がかった男を塚本晋也監督がご自身で演じておられるのですが、ものすごくインパクトのある演技で、いくらこの世とおさらばしたいと思ったとしても、こんな男にだけは手を貸してもらいたくない、と心の底から思ってしまいました。
この世とおさらばしたいと思った人物が0に電話をかけると、0は「あ、今、タッチしました」と言います。
電話をかけた人物が、心底絶望していて、本気でこの世とおさらばしたいと思っていることを感知すると、0は「タッチしました」と伝えるのです(この「タッチ」という軽薄な言葉遣いも、いい意味で嫌悪感満載です)。
最初の二つの事件では、どちらの被害者も見るからに絶望していたのですが、若宮刑事は全くそんな素振りのない人間でした。
しかし、0は若宮刑事の無意識の領域で、彼の隠された願望に「タッチ」したのでした。
影沼は最後、夢の中において、0が無意識の底に抑圧していたある幼い日の出来事を彼に思い出させます。
これによって、0がなぜ人生に絶望し、他人の夢の中で殺人を犯すようになったのかが分かります。

私たちは普段の生活において気付くことのないような自らの側面を夢の中で垣間見ることがあります。
ユング心理学の夢分析では、夢を通して自分の無意識にアクセスし、夢の中の象徴を読み取って、自らの心を分析します。
タロット占いでは、分析とまではいかないにしても、偶然に引いたカードの視点から現状を見直して、今まで気づけなかった本当の自分を知ることができます。


例えば、13番「死神」は、「もう、その考え方を捨てる時期が来たのではないですか?」というカードです。

 


 

普段の生活で何か上手く行かないことがあった時、たまたまこのカードが出たとしたら、「ああ、もうこういうやり方は現状に合わなくなってきたのかもしれないな」と考えてみるとよいかもしれません。
そして、その後、長らく忘れてしまっていた本来の自分と、今までのあらゆる経験とを混ぜ合わせて、ゆっくりと自らが変化していく14番「節制」がやってきます。

 

 

このように、8番「力」から18番「月」は、今まで放置していた無意識の領域に変革を起こす一連の流れでもあるのです。
他人の夢、つまり無意識にアクセスすることによって、現実の問題を解決することをテーマとした「悪夢探偵」にも、これらのタロットカードがどこかしらに当てはまるのではないでしょうか。

ということで、なんだかちょっととりとめのない前後編の記事になってしまいましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。

 

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