ジューシィ・フルーツのイリアさんはタロットカードの「恋人」? | さざ波スワン ~タロットと旅する~

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タロット占いで恋愛の相談をしている時、「恋人」のカードが出たら、とっさに「この恋、上手く行くかも!」なんて思いませんか。
「恋人」は、たとえタロットを知らなくてもそんな直感を抱いてしまうくらい、名称と絵柄がぴったりとマッチしたカードです(特にライダー版タロットの場合)。
ただ、もう少し深くカードを読んでいくと、そこにはただ男女が愛し合って結婚するといった意味以外にも、二項対立にあるものの一体化という視点があったりします。

「重要なのは、男女の役割分担ではなく、その一体化の実現なのです。」

上記の一文は、ユング心理学を取り入れてタロットを解説したレイチェル・ポラックの「タロットの書」から引用しました。
これはすなわち、男性性と女性性が一人の人間の中で混ざり合うことこそ理想的であると言っているのです。
男性性とは、論理的思考、積極性、統率力などを指し、女性性とは、豊かな感情、柔軟性、受容力などを指します。
これら相反する要素を併せもった人には、独特の魅力があります。
「恋人」のカードにはつまり、そのような理想的な人物像を意味している場合もあるというわけです。

では、そんなタロットカードの「恋人」的な魅力を持った人って、どんな人でしょう?

皆さんは「ジェニーはご機嫌ななめ」と聞いて、Perfumeを思い浮かべますか。
それとも、ジューシィ・フルーツを思い浮かべますか。
「ジェニーはご機嫌ななめ」は元々1980年に発売されたジューシィ・フルーツのデビュー曲です。

 

 

ジューシィ・フルーツは四人編成のバンドで、ボーカル&リード・ギターはイリアさんという女性でした。
当時はバンドの女性メンバーというと、お飾り的存在のボーカルか、楽器を担当してもせいぜいキーボードといった印象が強く、イリアさんのように本格的にギターを弾く女性というのは、まだまだ珍しい時代でした。
しかも、「ジェニーはご機嫌ななめ」のイリアさんのボーカルは、当時流行語でもあった「ぶりっこ」(かわい子ぶること)風の舌ったらずのファルセットで、その甘ったるい歌声とクールなギター・プレイのギャップが、この楽曲のヒットにつながったといっても過言ではないと思います。

「女の子なのにギターが弾けるんだ! かっこいい!」

こんな風に思った人はたくさんいたんじゃないでしょうか。
今だったら、「女の子なのに」なんて言う発言は、差別的ととられるでしょうね。
しかし、正直、当時はそんな風潮の世の中だったのです。

イリアさんが「ジェニーはご機嫌ななめ」で披露した、男性顔負けの演奏技術と確信犯的な「ぶりっこ」のかわいらしさを融合させたキャラクター。
これは男性性と女性性の一体化が分かりやすく目に見える魅力として現れた一つの例だと思います。
「ジェニーはご機嫌ななめ」が後にたくさんのアーティストにカバーされるほどの名曲になったのは、こうしたイリアさんの類まれな魅力が要素の一つにあったからではないでしょうか。