『二つの祖国』/山崎豊子 | TARO SOUL オフィシャルブログ「SOUL BLOG, TARO DAYS」Powered by アメブロ

『二つの祖国』/山崎豊子

展開が早く、ぐいぐい読み進められるタイプの小説も好きだが、
途中、何度も考えさせられ、その度に読む手が止まってしまい、中々進まない、
そんなタイプも素晴らしい。
今回紹介するのは、完全に後者。

『二つの祖国』/山崎豊子

有名な作品なので、既に読んでらっしゃる方も
非常に多いと思いますが。。。

太平洋戦争期の日本とアメリカが舞台、
史実を基に小説的に構成したもので、アメリカに暮らしていた日系二世が主人公。

当時アメリカで暮らす多くの日系人が開戦後、アメリカ国籍を有しているにもかかわらず、
敵性外国人だとされ、強制収容されていた事実があった事実を、自分は、
恥ずかしながら、本書を読むまでは知りませんでした。


アメリカ国籍の日系二世として、道を進む度に、二つの祖国の狭間で翻弄される主人公、
天羽賢治の壮絶な人生については、物語を是非読んで貰いたいが、

日系人とは言っても、アメリカでは適性外国人扱い、
日本に帰ろうにも日本ではアメリカ被れの売国奴扱い。。。。


物語中でも、強制収容所内で実施された忠誠心テストに触れられているが、
その回答が日本寄りなら劣悪な収容所から抜けられず、また、
アメリカ寄りの回答をすれば、戦地に送られ同じ日本人に銃を向けねばならぬ可能性もあり、
そこには想像を絶する苦悩、葛藤があったに違いない。

本書を読んでて、国家という枠組みが存在することは、
果たして個人に壮絶な苦しみを強いることもあると、気付かされる。

国への忠誠心とは。愛国心とは一体何なのか。

アイデンティティについて深く考えさせられた。


オススメなんてレベルじゃなく、絶対に読むべき作品です。