まさにこのタイミングで、、、 | TARO SOUL オフィシャルブログ「SOUL BLOG, TARO DAYS」Powered by アメブロ

まさにこのタイミングで、、、

どもっす。

また本の紹介なんですが、

福島原発の一件や、それに関連する様々な報道、東電と監督省庁、
皆さん、本当に思うところが沢山だと思います。

というか、本当に色々、自分たちの考え方、節電どうのこうのから、
原子力エネルギーと、あくまで、それを基盤とした国家運営を受け入れていくのかどうか、
その考え方の根本に何があるのか。
考えながら、日々の生活を送っていかなくてはいけないと思いますが、

そんなタイミングで出会った本を紹介します。

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ナニワ・モンスター/海堂尊

自分は、出版されてるのを発見したら即購入してるほど、海堂尊ファンで、
「チームバチスタ」シリーズをはじめとする海堂作品は全て、
同じ一つの世界での話で、全作品に相関関係があって、
登場人物も被ってたりするので、その内ひと作品だけを読んだだけでは、
物語的には、疑問ののころところも多少あると思います。

このタイミングですすめたいと思った理由ですが、まあ、
別に、原発と放射能を扱った話ではありません。
医療ミステリーですから。

今回の話は、架空の関西の大都市、浪速で、
恐るべき感染力の新型インフルエンザ「キャメル」の患者が発見、
感染を防ぐため、封込政策が取られるという話。

第一原発と、避難生活を強いられてる福島の方々と構図的には非常に近いな、と思いました。

実際、読み進めてみると、ちょっと違うんですが、

それでも話の中で描かれていたのは、
人々の安全よりも安全神話、既得権益を守ることに固執する政府(この話の中では厚生労働省)と、
それを監視するのではなく、都合の良い情報のみを垂れ流し、また都合の悪い情報を隠すために
人目を引きやすい、どうでもいい情報を垂れ流す、傀儡機関に成り下がったメディアの欺瞞、です。

もちろん、フィクションですが、
医師としての問題意識がきっかけで作家になった海堂氏だからこそ、
フィクションの中に盛り込ませられた真実があると思います。

話の中でも、登場人物の台詞に、
現代の医療社会は崩壊し、次のフェーズに移らなきゃならないというようなことがありましたが、
当然、本作が執筆されてたのは、3.11以前。

海堂氏は常に医療を社会学的な観点で描いている方だし、もちろん、
医療に限らず、現在我々が頼っている考え方の枠組み、パラダイムを
転換しなくちゃいけないフェーズに来ているということは、
近年多くの社会学者の人たちが訴えていることで、
自分も大学院時代、そのようなことを研究したりしてました。

今回の東日本大震災で何かが変わったというよりは、
もう崩壊してたことが露呈したということだと思ってます。


なーんて、色々考えを巡らせてしまいましたが、
単純に、ストーリーとしてもバッチリ面白いです。

オススメです。

ちなみに、映画等で描き尽くされた感のある、
ありがちなウィルスパニック的な内容ではないので、ご安心を。


あ、あと一つ!この本のアートワークだけは納得いかない!
メスはおろか、手術シーンすらも一回も出て来ないのに、
なぜメスなんだよ笑!!!


以上。