『冬のソナタ』を読む

「流れない川」(p73~92)

2 物語が足りない

 

ミヒの物語が足りない。

春川(チュンチョン)の冬の風は身にしみた。人気のない丘に吹く風は、人の心まで凍りつかせてしまうほど冷たかった。

ミヒはヒョンスの墓の前で長い時間、その風の中に立ち尽くしていた。

(p74)

ミヒとヒョンスの物語が足りない。

ヒョンスのすべてが忘れられなかったのだ。決して許すことができなかったから、記憶のすべてを反芻しながら生きてきたのだ。それは自分を苦しめることだということをミヒは気づかなかった。見たり触れたりすることができなくても、ミヒは記憶の中のヒョンスを憎みながら生きてきたのだ。

(p74)

ヒョンスとイ・ギョンヒの物語が、ない。

(終)