老女Aの手記
Ⅰ-29
二兎を追うものは、いや、三兎を追うものは……いやいや、追わなかった。
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一方、K氏は家に来ている頃から「医者で有名になることは難しいから、山で有名になってみせる」と言っていたが、S30年頃、友人の引きで「山とスキーが思う存分出来る」と言って【①】移ってしまった。そして、33年頃作家の【②】と写真家の、たしか【③】(ではなかったかと思うが)、それから医師のKという珍しい三人コンビで、日本で初のエベレストかヒマラヤかに登頂に成功して、丁度、TVを買っていたので、TVで会ったり、当時取っていた【④】で近況を知ったりした。【②】の山の本には、時々、K氏とかK氏夫妻とか、実名で登場する。【⑤】の山岳会では神様扱いだったと、その頃、山に関係していた人たちは言われる。
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【①】は県名。【②】と【③】は有名人の名前。【④】は週刊誌の名前。【⑤】は地名。
A子も「有名になること」に憧れていたようだ。
公害の女の患者の写真が新聞に載ったのを見て、「この人は被害者にならなければ新聞に載ることなんてなかったろうにね」と嘲るように言ったことがある。
(Ⅰ-29終)