『冬のソナタ』を読む

「流れない川」(p73~92)

3 「僕は誰ですか?」

 

記憶のピースは、まだ揃わない。

外に出たミニョンは、ちょうどタクシーから降りるユジンを見つけて彼女に歩み寄った。ぎこちない悲しげな笑みを浮かべるユジンの姿を見たミニョンの眼に動揺の色が浮んだ。

「話があります」

いきなりミニョンがユジンの腕を引っ張った。当惑したユジンは反射的に腕を引っこめた。

「こんなのミニョンさんらしくありません」

ミニョンを見つめるユジンの眼に、不安の色が浮かんでいた。

「イ・ミニョンらしいものってなんですか? 教えてください」

叫ぶように言うミニョンの姿は、別人のように思えた。決して軽率な真似はしない人であることを知っているユジンは、普段とは明らかに違っているその態度を切ない気持ちで見つめた。

(p92)

巨大なジグソーパズルのような、真実を覆い隠しているような紅の幕の前に、二人は立っている。

ユジン 「ミニョンさん……?」

ミニョン「(強い視線で)僕は誰ですか?」

ユジン 「?」

ミニョン「答えてください、ユジンさん。僕は誰なんですか?」

(『冬のソナタ』「第12話 十年前の真実」)

風が吹く。幕が揺れる。

真実のピースは、まだ揃わない。最後のピースを、ユジンが握り締めている。

(終)