お店で、ペット不可の文字を見ると、つい、あの子を思い出す。



あの子と初めて会った日、夕方、くれかかる頃、他のメンバーはすっかり揃っていたが、あの子だけが仕事の関係で1人遅れて来た。



小雨が降り始め、あの子の待つ場所にみんなで移動すると、雨に濡れながら1人ぽつんとガードレールに座る姿が見えた。


誰かが、『○○ちゃん?』と声をかけると、こちらを振り向き、ニコニコしながら駆け寄ってきた。



その姿に、誰もが『○○ちゃんて、捨てられた子犬みたいだね。』と言った。



それ以来、仲間内で、集まりが有ると、店舗に貼られた『ペット不可』の文字に、みんなが、『あっ、ペット不可だって、○○ちゃん、どうしようか?』と言うようになった。



本人も、ペット扱いを気に入っている様子で、みんなにそんな風に言われると、子犬の真似をして、小さく『わんっ』なんて言いながら、小首を傾げた。



だから、私の中では、すっかり、ペット不可=あの子になった。



あの子は、もう居ないのに、『ペット不可』の文字を見ると、一瞬、立ち止まり、あの子を探してしまうのだ。