自分からは、他人の諍いに関わることはしないのですが、その人たちの家族に不幸を及ぼすと感じられたので介入したのだと思います。
シートに座っていた四十代の男性が、怒声を上げて立ち上がりました。
赤ら顔の、見るからに酔っています。
相手は、三十前のサラリーマン風の青年で、中年男性の部下に対するような口調でした。
会社内の関係かと思いましたが、青年は、その中年男性に興奮して詰め寄ります。
ただ、乗り合わせただけと分かりました。
座っていた中年男性の膝に、青年の長い足が触れただけのことです。
それが気にいらず、青年に謝罪を求める怒声でした。
「これだから電車には、普段乗らないのだがなー」
この言葉に、青年の堪忍が切れたのでしょう。
![パンチ!](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/043.gif)
危ないと直感しました。
青年の右肩が引かれたので、素早く間に入り耳元で囁きました。
「酔っていると、年寄りは簡単に死にますよ」
![叫び](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/254.gif)
ハッと、青年は青ざめて、
冷静になりました。
途中で、電車を一緒に降りて、次のにしました。
「どうして本気で殴ろうとしたのが分かつたのですか?」
「貴方の神様が教えたのですよ」と、話しました。
青年は、子供と妻のことを、一瞬忘れていましたと後悔しています。
「止めてくれて有難うございました」
青年は、明るい笑顔で家路につきました。
短稿でした。
![ニコニコ](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/139.gif)