1日空いてしまいましたが、気を取り直して本日は、シミュレート系プラグインについて。
そもそもシミュレートの意味とは?とお思いになる方もいらっしゃるでしょう。まあ意味としては、実際にあるハードの機材を、コンピューターで数値に置き換えてすべて再現させてしまおう、という事なのですが今回、DAWにおいては、大きく分けて二つになります。 一つは、今言った実在する機材の再現。もう一つは、テープや真空管といったニュアンス的な部分をシミュレートした物とに分けられます。
現在のDAWソフトには、基本的にコンプレッサーやイコライザーなど、標準でも付いているのですが、なぜこういったシミュレート系が流行っているのか。流行ではなく、必要だからと言った方がいいかもしれません。
皆さんが自宅で録る時に単体のプリや、アウトボートを通す方がどれだけいるか分かりませんが、PCとインターフェイスだけで完結してしまうケースがやはり多く、そういったデジタル臭さを取る、といったケースや、実機は高いし、ビンテージ機材はメンテナンスが大変、といったケース、DAWではトータルリコールが簡単だけど、実機だと次の日に再現するのも難しいからというケース、様々な要因からこれらのシミュレート系が重要な位置にあると考えられます。
一千万円以上する様なコンソールも、プラグインなら10万円以下で買う事が出来たり、またその音が非常にオリジナルに忠実だとしたら、これほど便利な物はありません。
さて、始めに言った一つ目ですが、例えば、プロツールスに始めから付属するUREI1176等になります。つまみの位置など保存しておけばいつでも呼び出せるのでとても使い勝手が良いです。中には、オリジナルモデルには無い様な、プラグインだけの付加機能がついた物もあるので、利用しない手は無いでしょう。
こういった物は、説明書が無くてもつまみをいじれば効果が分かるくらい操作しやすいので、標準プラグインに物足りなくなったらぜひ導入してみましょう。
次に、テープなどのニュアンスなどのシミュレートですが、分かりますでしょうか。
例えば、同じ曲でもCDで聴くのと、カセットテープで聴くのではずいぶん印象が違ってくると思います。CDだとカラッとしてダイナミックレンジも広く、音もすごくクリアに聴こえるけど、テープで聴くと、なんかこもったような、ノイズっぽいような、でもなんか暖かい感じがあるなあとか、そんな風に感じる人がいると思います。
要するに、一見、テープの短所に思えるノイズなどのニュアンスをデジタル録音した素材に加える事によって、極端に言うと、バキバキのデジタル音をゆるいアナログ音にしてしまおう、というプラグインです。
これは本当に一長一短なので、必ずしも掛けた方が言い訳ではなく、時と場合によって、1パートだけとか、あるいは全体に掛けたりします。
もちろんテープだけでなく、真空管をシミュレートしたものもありますし、レコード風にしたりするものもあります。 一種の懐古主義的な要素も少なからずあると思います。
しかし人の耳は少しのノイズなら、あった方が心地いいと感じる事があるので不思議なものです。
テープにしろ真空管にしろ、その独特の歪みがある訳ですが、例えばこういったプラグインをボーカルに掛けたとして、つまみをどんどん上げて行くと、音が歪み、チリチリとしたノイズが乗ってきます。
このノイズが乗る事をサチュレーションといいます。
元々は、アナログテープで録っていた時に、オーバーロードして乗ってしまう、好ましくないノイズだったのですが、現在は意図してサチュレーションをおこしたりしているので面白いものです。(デジタル録音の場合、オーバーロードすると、すぐにクリップして聴くに堪えないノイズが乗ってしまいます。)
上の写真は、正にテープのシミュレート系エフェクトで、つまみが二つしか無く、左のドライブと書かれた方を上げて行くと、どんどん音が歪んで行きます。主に、ボカールにうっすらと掛けたり、ロックっぽい曲調だったら2ミックスに掛けたりしています。
積極的に掛けるよりは、むしろ少量かけてニュアンスを出す訳です。あるいは、音量を上げたくないけど、目立たせたいトラックなどに掛けても効果的です。この場合下手にEQなどを使うより効果的だったりします。
こういったプラグインは、手軽に試す事が出来るので色々と実験すると面白いと思います。
もちろん実機にも良い所は沢山あるので、バランス良く機材を組み合わせて行くのも醍醐味だと思います。
いつも言っていますが、これらの記事はすべて私の主観による所が多いので、あくまで参考程度にして頂きたく思います。
それでは。