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本日は自宅でのボーカルレコーディングについて書いてみたいと思います。
申し訳ありませんが、前提としてダイナミックとコンデンサーの違いや、ある程度機材の事が分かっている物として話を進めて行きます。
マイク自体についてはまたの機会に致しますのでご了承下さい。

さて、おそらく宅録する方はみなさん、パソコンにオーディオインターフェイスを繋げてDAWソフトで録音していると思います。

早速ですがまず、床の材質に目を向けて見ましょう。大抵フローリングか畳だと思います。
床からの振動や、反射が気になるので、絨毯を用意します。
部屋全体に敷く様な大げさな物で無くていいので一畳位の物を用意しましょう。 敷いた絨毯の上にマイクスタンドをセットします。

次にマイクスタンドを立てる場所です。同じ部屋でも立てる場所や向きによって音が変わってきます。
マイクが部屋の真ん中を向くのはオススメしません。部屋鳴りを一緒に録ってしまう為、後々加工しにくくなってしまいます。
マイク録音はなるべくデッド(反射が少ない)になるようにしましょう。
六畳間などでしたらなるべくボーカリストが壁際に背を向けて立つ感じにし、マイクが壁を向く様にしましょう。
しかしそうすると今度は壁からの反射音を録ってしまうで、出来たらバスタオルでもいいので画鋲などで自分の背面に垂らす様にしましょう。
最近ではリフレクションフィルターという反射を抑える機材が3万円位であるので楽器屋さんでチェックしてみても良いでしょう。

スタンドの位置が決まり、マイクをセットしたら、次はポップガードを付けます。
ポップガードは良くテレビとかでも見かけると思いますが、マイクの前に付いている網状の物です。
ボーカリストの息や唾などがマイクに直接かからない様にする為の物です。マイクの保護にもなるし、録った素材にも影響してきます。安価な物だと2~3千円であるので必ず付ける様にしましょう。

そしてマイクのセッティングですが、ポップガードを付けて録音しても「吹かれ(息)」は入ってしまう事があるので、まず、マイク自体を口元より若干上に上げ、角度を若干下に向けます。この角度というのは、マイク自体ではなく、マイクの振動板を基準に考えて下さい。コンデンサーなどは網の部分を光にかざすと中に丸い振動板が見えるはずです。

また、コンデンサーマイクなど、よく上から吊るす光景なども見ますが、圧迫感が嫌だという人もいるので、特にこだわる必要はありません。

マイクとボーカリストの口の距離は、厳密な決まりはありませんが、コンデンサーマイクなら20~30センチ、ダイナミックなら10~20センチ位離しましょう。
注意したいのは、ダイナミックマイクなど、単一指向性のマイクの場合、近接効果というものでマイクと口が近づくにつれて低域が持ち上がり、また離すと低域から減って行くので、なるべく一定の距離で歌う様にしましょう。
テレビなどでよくコブシを効かせてマイクを段々離して行く歌手がいますが、あくまでもパフォーマンスなので真似しないようにしましょう。 音量を小さくしたかったら自分で小さく歌うか、後々DAWでフェーダーオートメーションを書けば良いので。

いよいよ録音する訳ですが、録音するオーディオトラックの前段にAUXトラックを作りましょう。
できたら本当は単体のマイクプリ、コンプ、EQが欲しいのですが、今回はそれらはインターフェイスとDAWのプラグインで補います。

AUXトラックにマイクの信号が入る様にし、AUXトラックの出力をレコーディングトラックのインプットに設定します。 そしてAUXトラックにEQとコンプを掛けます。
こうする事で、AUXトラックのEQとコンプのを通り、掛け撮りする訳です。
リバーブが欲しい時には、別にAUXトラックを作り、そちらにリバーブをインサートし、オーディオトラックからバスで送りましょう。 単体の安いリバーブが一つあるとボーカリストが自刎の手元で調整出来るので楽ですが。


ローカットはマイク側についていたらそれを使っても構いません。
無い場合はAUXにインサートしたEQで下をカットします。この場合、マイクの吹かれや足下からのスタンドの振動音など、80Hz以下をばっさり切っちゃって良いでしょう。

コンプはDAW標準の物でも構わないですし、実機のシュミレートがあればそれを使ってみましょう。
コンプはMixでも掛けてトータルで調整していくので、録りの段階では、音の粒を揃える感じで、うっすら掛かる様にします。レシオは4:1位。アタックは若干遅めにし、リリースは若干早め。サビの辺りの波形が最大になる辺りでリダクション量が10dB位になるようにスレッショルド値を設定します。

コンプで定番と言われるのは、UREI1176やTUBE-TECH CL1などです。

といった感じて進めて行く訳です。

たまに掛け撮りは良くない、という記事を目にする事がありますが、音作りではなくあくまで粒を揃えるのが目的なので、録りの段階できちんと処理しましょう。後々のミックスがとてもやり易くなるし、余計なプラグインを使わなくていいのでパソコンのCPUへの負担も減らせます。

セッティングが決まり、最後に重要なのはボーカリストの気分になります。
自分で歌う場合は良いのですが、他の人が歌う場合、何度も録り直したりすると段々気持ちが落ちて行ってしまうので、そこを気分良く歌ってもらえるよう努力しましょう。
一部分だけ違う日に録ったりするとバランスが悪くなるので、出来るだけ一日で録りきってしまいましょう。 どうしても駄目だったら潔く諦めて別の日に録り直しましょう。


最近は簡単に波形を切ったり貼ったりしてOKテイクを作れるのですが、このため逆にボーカリストに緊張感が無くなり、間違えても何とかなる、といった感じでグダグダになるケースがありますが、やはり1テイクで出来るだけ良い物を録った方が色んな意味で良いので、お互いがベストな状態で臨めるようにしましょう。

マイクは定番だとNEUMANN U87 大体30万円以下位でしょうか。もちろんこんな高価なマイクで無くても大丈夫です。初めはSHUREのSM58(約1万5千円)などのダイナミックマイクなどから挑戦してみましょう。5万円を中心に10万円前後の予算があると結構良いマイクが揃えられます。


写真はコンプの1176、BOMB Factoryのプラグインです。掛け撮りの場合、ほぼデフォルトで場合により若干値を変えます。

といった感じで、ボーカルレコーディングについてでした。

最後に、今回の記事は全てのケースに当てはまる物ではありません。
環境により変わってくるのであくまでも参考程度に考えて下さい。

それではまた。