C(L.)sincorana カトレア( レリア). シンコラナ 温室を使わない栽培解説bytaro
初回原稿 2007.12.10 最新更新 2019 .10..15
( 学名は、ブラジル産のレリアはすべてカトレア属に編入されました。2009 年時点)
‘Jose Rodrigues’‘ホセ ロドリゲス’MC
ペタルの開きは良く花弁(特にセパル)がきらきらと輝き、まるでラメの宝石をまぶしたような輝きです。
'Devine'AM/AOS
通常のものに比べると花が大きく濃色。
原産地 ブラジルのバイア州。ミナスジョライス州から続く内陸部のセラード、シンコラ山脈。乾燥した不毛の大地、「砂漠地帯の高山」といわれます。、標高は1100 ~1500m 。乾燥が激しく、特に冬は雨はほとんど降らず、株は夜霧で生き延びているといわれる場所です。シンコラナの栽培に当たってはこの過酷な環境を常に意識しておくことが必要です。
生育のリズム 春の終わりから夏の前半(= 暦で5 月から7 月前半) に花が咲き、しばらく休んだあと、初夏から秋の初めに新芽が覗きます。この新芽は秋~初冬と生育し、年内に一旦生育完了します。そして冬、( 私宅では12 月ごろ) 再び新芽が出て、花はこの冬の新芽に咲いてきます。開花期は5月~6月です。栽培に当たっては、このリズムを念頭に入れておきます。( 温室があれば春に咲いてその後出てきた新芽に秋に再び咲くこともあるようです。)
栽培のポイント 日本で シンコラナを育てうまく咲かせるには他のランにないコツがあります。季節ごとにポイントを押さえきちんと実行していくことが大切です。シンコラナは 「 70 %遮光の cool type 」 と紹介されます 。
① 自生地は1000m 以上のsandostone area ( 砂礫地帯) の半乾燥地帯と言われます。年明けの過湿はご法度。しかし、経験的に「年間を通じて乾かし気味にする」のは間違い。これでは株が育たず作落ちになります。5月6月は雨に当てっぱなしでもよいほどで、水やりは季節ごとにメリハリをつけること。また、冬も完全には乾かさないほうが良いというのが経験則です。
②7月8月の暑さを嫌う。この時期は理想的にはクーラー設備がほしい。夏場の適温は20℃ ~30℃ が理想。③ 暑い夏を除き、日光は好き。特に秋から春は生育期にあたるので、この時期の日光浴は欠かせない。④ 寒さに強く7℃ ~10℃ あればよいが冬場の水やりは控えめにする。多くの資料ではneeds a very dry winter rest と説明されます。⑤ 乾きやすくするため鉢は小さめ。2.5 号までとする。よほどの大株でない限り3 号では大きすぎる。⑥ 植込み材料はコルク植えがよい。与えた水がさっと乾くから。経験的に水ゴケ単用では過湿になります。
< 秋の管理> 秋はシンコラナの生育期です。夏の終わりに出てきた新芽は年末までに大きく育てなければなりません。特に10月の前半までの期間は、雨に当てっぱなしでもよいほどで、欠かさず水やりを行います。同時に陽射しにタップリ当て寒くなる冬までに出来るだけ大きく育てる。この心構えで臨みます。気温の下がる10月には株元から根も勢い良く伸び生育真っ盛りということを実感するはずです。生育の良い株からは新しい芽が出てくるほどです。この時期、根の動きが鈍かったり夏に出た新芽の生育が鈍いようなら春からの水不足か夏の暑さが原因と考えられます。( 昨今の猛暑で、生育のリズムが従来より異なっています= 2019年10月記述)
施肥もこの時期になります。9 月に入り涼しくなればにシンピジュームに与えるのと同じ油粕を与えてもよいほどです。夏の新芽に花は咲きませんからチッソが効いて葉を大きく育ててくれます。
以上のことから夏を涼しく過ごさせることがとても重要になります。
< 冬の管理> 旧レリアの生育サイクル上、冬もわずかながら生育期に当たりますが、それも年内までで、年が明けるとピタっと止まり生育の中休みになります。実は、この生育の中休みが大事で、英語で書かれた解説書には「needs a very dry winter rest = 冬の乾燥休暇が必要である。」と書かれています。この期間は水をうんと控えます。固い葉と丸々としたバルブを持ち、冬場はかなりの乾燥に耐えます。こういうランに調子に乗って水を多く与えると花が咲かないだけでなく枯らす原因となります。このことは肝に銘じておきます。( 私も何度か失敗しました。)
一方でこの時期の日照不足はいけません。従って冬は「鉢内は乾燥気味に、努めて日光浴させる。」という事になります。水やりは10日に1 度、それも鉢の表面を少し濡らす程度です。冬の最低気温は7℃ ~10℃ あれば問題なく、乾燥気味にして、温度以上に日光浴が大切。この意識で過ごします。
乾燥気味に過ごしていても、元気な株からは冬の間に新芽が覗いてきます。花はこれに咲いてきます。それでも水やりは3月後半まで控えめです。
< 春の管理> 3 月の後半になると暖かくなり少しずつ勢いが出てきます。冬に出た新芽を5月中ころまでに一定の大きさに育てるとそれに花芽( つぼみ) が見えてきます。その為に3月後半にリンを含む花芽促進剤を一度与えると効果的です。春は戸外で無遮光でも構いません。
< 夏の管理> 暑い国の砂岩地帯、、、という事で、夏の暑さには強いというイメージがありますが、事実は逆です。日本の平地の夏の蒸し暑さは大変嫌います。正確には、暑さより高湿度に弱いということです。7 月、8 月は、「50 %以上遮光された風通しの良い場所でできるだけ涼しくします。夜間温度は20℃ までが理想で平地ではクーラー室がないと苦戦します。
「花が終わると株はしばらく静養する。そのときは水はやや控えめにして根を伸ばさせる」という話がありますが、経験的にあまりこだわる必要はないようです。というのは、2015年の経験ですが、5月から梅雨が明けるまでずっと庭で吊り下げ雨にも当てっぱなしにしてみところこれまでになくよく育ちました。自生地は半乾燥地帯というのは冬場に言えることで夏場はしっかり水を与えたほうがいいようです。根も夏の間は目立った動きはなく、10月に勢い良く伸びるのが我が家の実態です。
愛好家の次の談話は参考になります。「南米高地に自生している種だと思いながらも冬は14 度の中温室、春~秋は30 %遮光の外で2 年間は栽培していました。購入したときよりもバルブは太らず、花も1 花しか咲きませんでした。」
「次の年の夏あまりに暑い日が続くので一時冷房温室に避難させたところ、バルブが太りだし良い生育をして、翌年1 バルブ2 花が咲いきました」
南米といえば暑いイメージがありますが、高山に自生するシンコラナにとって日本の夏は暑すぎるという事です。加えて湿度の高さは半端ではありません。弱らせる原因となります。夏をいかに涼しく過ごさせるか、、、近年の課題です。
< カイガラ予防はこまめに。> シンコラナはバルブが密集しているため、カイガラが入りやすいランです。「気が付くと手遅れ」ということもありますので、日ごろから細かい観察が必要で、定期的にオルトランなどをまいておきます。もう一つはナメクジ対策です。私の場合、夏場は庭で過ごしますが、高いところに吊っているにもかかわらずナメクジ被害にあうことがあります。定期的に、夜間、いくつかの鉢を集めて棚置きし駆除剤を置いて翌朝観察するとナメクジが死んでいることがあります。
< 植え込み方> 鉢のサイズは2 号または2.5 号までがよい。3 号では大きすぎて生育に時間がかかり、花がなかなか咲かないし、過湿により株を弱らせる原因となります。20 バルブくらいまでは2.5 号鉢で充分です。水は好きだが、過湿を嫌うという性質を実現するために水ごけはやめてヘゴ付けにしてそのまま素焼き鉢に植えこむ方法は効果的です。さらに、私の場合は鉢底を空洞にするため「肥料パック」を使いますが重宝しています。そして更によいのはコルク植えです。ヘゴ以上に早く乾くからです。勿論、鉢はできるだけ小さくします。これらは、主に夏に水を与えても過湿にしない工夫です。
< 植え替え期> 花が終わった直後です。このランの生育リズムからみてここしかありません。春は開花期にあたるので植え替えは出来ません。
< 根の動きを知る> 上述したように、シンコラナは花が終わってしばらくしても根は動きません。新芽が先に覗いてきます。時期ははちょうど暑さ真っ盛りの季節です。新芽が出てきたからと言って水やりを増やすのはクーラー室などがない限り危険です。水やりを増やすのは9月後半からの1か月です。根が動き始めるのは10月の下旬からです(15 年10月19日確認) 。このランにとって最もしのぎやすい季節です。このあたりがシンコラナ栽培のむつかしいところです。秋は短く、11月からは気温が下がってくるので水やりは徐々に少なくしなければならず、しかも、年末までに一人前に育て上げなければならないからです。
春の根動き 5 月中旬から下旬はつぼみが膨らみ開花へと進む時期で、その株元からの新根は普通は見えません。しかし、中には蕾が膨らむと同時に根も出ているようなら株が元気な証拠で喜ばしいことです。秋以降の芽は健全に育ってきたが花が咲かない場合、そのバルブの元からは新根が伸びてきます。早ければ新芽も出てきます。これは健全な姿で来期は期待できます。これがこの時期の根の観察ポイントとなります。
< シンコラナを使った交配種> walkeriana との交配がLove Knot で、coccinea との交配がIsabella Stone になります。どちらも人気種。Love Knot はシンコラナと同様、乾と湿のメリハリが大切です。
以上