さて、話しは急に『郵政解散選挙』前夜に戻るのですが、この衆議院選挙公示4日前の8月26日徳洲会福岡病院の佐藤耕三名誉医院長と福岡全日空ホテルに呼び出された父さまは、翌日27日土曜日午後4時の飛行機で東京へ行く事になります。千代田区平川町のビルの一室にある日本再生会議と云う名称の事務所を訪ねるのですが、そこで会ったのは亀井静香前衆議院議員の秘書、徳田虎雄さんの秘書、荒井正幸参議院議員などでした。また、長谷川憲正参議院議員から電話が入り話しをしたりしています。
この時3時間程、父さまはこの事務所にいたのですが暇に委せて、徳田虎雄さんの秘書の方と自由連合が闘って来た選挙の話しになりました。
その中で野坂昭如さんの話しが出ました。野坂さんは平成13年の参議院選挙にやはり自由連合の比例区著名人候補の一人として出馬したのですが、4万3千票ほどしか票を得る事ができませんでした。そんな惨澹たる結果について野坂さんが『小政党への蔑視があると』憤慨していたそうです。同じ時の参議院選挙に大橋巨泉さんが民主党から立候補し42万票を獲得しています。野坂さんにいわせると、自分も民主党から出ていれば巨泉さんと同じくらいの得票になっただろう。この結果の差は有権者のミニ政党に対する蔑視があるからだと言うのです。
が、これは一面当たっているようで、微妙に的を外ずしています。
自由連合は今回の『郵政解散選挙』で徳田虎雄党首も政界を引退され息子さんにその地盤を譲られることで自然消滅する事になるのですが、これまでの闘って来た選挙で自由連合は有権者に『本気を感じさせる陣立てができなかった。』と云う事につきます。
平成13年の著名人大量擁立選挙以前の国政選挙は何れも、徳田党首がオーナーの徳洲会病院の医師や職員を候補に闘ってきました。組合・団体の幹部や職員が選挙に臨み、立候補すると組織内候補などと言ったりしますが、医院内の医師・職員を全国の選挙区に立て選挙に臨めばそれは、露骨な組織内候補としか有権者は受け取らないでしょう。また、医療関係者しか候補に立てない自由連合に対して、政治は医療だけではないと政策上の総合力の欠如を有権者はこの政党に感じていたと思います。医療と福祉の問題こそ国民生活に最も身近な問題で、そこに焦点を絞って訴えれば有権者の関心を得れると云う発想の選挙だったわけですが、ぼくは、市井のお父さん、お母さんたちは案外、安全保障問題や外交、教育のような、訴えても票にならないといわれる分野をシビアーに見分けて政党の好みを選択していると思います。そして野坂さんの事に話しを戻すと、それまでの自由連合の組織内候補と同じく野坂さん自身が有権者に『本気を感じさせる事』ができない個性の候補だった事が大橋巨泉さんが選挙で得た結果と全く違った結果となる原因といえます。タレントであり事業家、そして今は海外で生活をしていると云う巨泉さんのライフスタイルはどこか政治と関わっても納得させる質を持っています。実際、ご本人の口から政治に関する批評や批判がメディアにのって来た人でもありました。一方、野坂さんは~父さまは作家としての野坂さんには好感を持っていますが~いっも酔っぱらっていて、好きな事を言っている売文業のおじさまと云うイメージが先行しています。パブリックを感じさせない、極個人の好みで生きていると云うのが野坂さん自身が自覚されている、ご本人公認のライフスタイルと思われます。
そんな野坂さんのライフスタイル、生きざまはあまりにも政治とは懸け離れた質をもっているのではないでしょうか。そんな野坂さんの立候補は、有権者から見ればあまりにも唐突で受け入れられないものだったのだと太郎は思います。歌手であれば、千葉マリアさんよりも社会性があるメッセージソングもナンバーに持つ、中島みゆきさん辺りを公認候補として擁立すれば有権者も、本気として受け入れてくれるのだろうと思います。結局、いくら著名人をかき集めても、有権者に本気を感じさせる陣立てが自由連合は、この選挙でもできなかったことに尽きます。