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A man who doesn't spend time with his family can never be a real man.

中国経済の正体 (講談社現代新書)/門倉 貴史

¥756
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隣のあの人。中国。

書評ラッシュwww


結論から言おう、ほんまでっか!?な内容も含まれた中国経済に関して包括的に分析された入門書だこれは。


著者はBRICs経済研究所のファウンダー兼所長である門倉氏であり、TVをよく見る人ならご存知明石家さんまがMCを務める「ほんまでっか!?TV」にもコメンテーターとして出演しながらも、その公平性を欠く編集や発言機会、オチ要員的な立ち位置に不満を感じ本職への影響も考慮し降板した人物である。




本題に戻ろう。




本書は初版が2010年4月発行と若干古いが中国経済について多面的に分析された内容を網羅しており、私のような中国に関して初心者である人間には非常に理解しやすく解説されている。
また、包括的な内容である為、初心者向けというだけではなくビジネス上の観点や外交上の観点からも解説のみならず、ある程度の活動指針(リスク等)まで提示されている。
さらに昨年度の日中両国間(欧米も)の外交や経済に関する復習とこれからのそれを見る上で、ベースとなる知識を与えてくれる。



個人的に特に気になった箇所を3点取り上げたい。


1点は、中国国内における3Gサービスの大手通信3社の取り扱う通信規格が異なるという点である。
業界
第一位中国移動(チャイナモバイル)は、TD-SCDMA(中国独自規格)方式 5,510千人ユーザ/13,250千人(2009.12)
第二位中国聯通(チャイナユニコム)は、W-CDMA方式方式 
第3位中国電信(チャイナテレコム)は、CDMA2000方式
を採用している。
【ほぼ同時期のNTTドコモ 3G携帯ユーザ数 52,045千人】
しかしながら、i-mobileの2010年のアンケート調査では、3Gに関心のあるユーザは
55%がW-CDMA
23%がCDMA2000
22%がTD-SCDMA方式を選ぶとしている。
しかも調査当時で、3G利用者は携帯電話契約者全体のうち2%弱であるという。




もう2点は、中国に限った話ではないが「強制実施権」の発動に関する注意である。
「強制実施権」とはWTOが1995年に発効した貿易関連知的財産権(TRIPs)協定で定めたもので、
特許権を非商業目的で利用するのであれば、現地の政府が自国の企業に、外国企業の承認を得ることなく、その技術を使用させることができる権利を指す。

ここでは、COP16において新興国に対し厳しい二酸化炭素排出量削減目標が課されることが採択されれば、発動の可能性もあるであろうと注意を促している。

三井物産に勤務する同級生は、昨年「環境分野」でのビジネスは前向きに事業として成り立ちにくいと発言していたが、先週の日経新聞では三菱商事のグリーン投資スキームに関する記事では、CDMに変わる取引としてGISを戦略的に進める旨が記載されていた。環境分野における先進諸国の技術は、これからの経済を支えるパワーとなり得るであろう。


最後の1点は、今後の日本経済の生き残り戦略において、米に頼りすぎることなく今後の中国の真の経済成長曲線(これにも誤差があると著者は説く)と中国を最終消費地とする分野を見極めながらBRICsのインドやASEAN諸国にも目を向けリスク分散を図る様呼びかけている点だ。



いずれも、近くて遠い巨人中国に関して、非常に理解しやすく興味深い内容となっており面白い。



ええがな。




オピッコしてこよー