フルートの出番です311 イベール「戯れ」 | 翡翠の千夜千曲

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イベール:戯れ J.Ibert Jeux フルート神田勇哉

00:00 I_ Anime 

02:39 II_ Tendre 

フルート 神田勇哉 Yuya Kanda(flute)

ピアノ 長崎麻里香 Marika Nagasaki(piano) 

 

 

 何てことでしょう。寒いと思っていたつい最近、一気に春になって明日は4月だよ。新入生、新社会人の皆様おめでとうございます。とは言え、気が重いなんて言う人もいらっしゃるのではありませんか。私は、現役を降りましたが、その当時何度止めようと思ったか分かりません。今の仕事が天職だなどと思っている人はどれだけいるでしょうか。結構皆手探りでやっている人が多いのではないでしょうか。ある人の言葉を思い出します。「今いる場所で咲け」

 今は、指導者というよりはコーチみたいでもあり、指揮者とは言えほぼボランティアですから気楽かと言えば、そうでもない。小さくても、常に問題はあり、またその問題を問題と認識することに活路はあるわけですから、問題と言うものはあって然るべきものだと認め、逃げても仕様がないと考えることもできます。ものは、考えようと言うことでしょうか。という訳で、明日も元気に行ってらっしゃい。エイプリルフールな一日だと思えば笑って過ごせます。

 ジャック・フランソワ・アントワーヌ・イベール(Jacques François Antoine Ibert, 1890年8月15日 - 1962年2月5日)は、フランスの作曲家です。父ジャックは輸出業者、母マルグリットは才能に恵まれたピアニストで、パリ国立音楽院のピアノ科教授の下で学んだ経験がありました。好んでバッハ、ショパン、モーツァルトなどの作品を演奏していたことから、イベールはこれらの作曲家を好んでいたと言われています。母の意向で、イベールは4歳からヴァイオリンを始めますが、彼は幼少期から体が弱く、パリ音楽院を受験する生徒たちを指導していたピアニストのマリー・デレの門下生としてピアノを習うようになります。
 中等教育を修了すると、フランスの大学入学資格を取得し、父の経営する会社で働き始めますが、イベールはソルフェージュのレッスンや歌手の伴奏なども始め、徐々に作曲も手がけるようになります。マヌエル・デ・ファリャの勧めにより、1910年にパリ音楽院のエミール・ペッサールの和声クラスの聴講生になり、翌年には正式な学生として入学を許可され、1912年にはアンドレ・ジェダルジュの対位法のクラスへ、翌1913年にはポール・ヴィダルの作曲クラスへと進み、ヴィダルの下で3年間学びました。この対位法クラスでは、のちに「フランス六人組」として知られるようになるダリウス・ミヨーやアルチュール・オネゲルなどと親しくなり、互いに切磋琢磨するようになります。
 こうした友情にも関わらず、「フランス六人組」のメンバーとして数え入れることはありませんでした。彼の作曲方針や書法などの影響というより、1914年に勃発した第1次世界大戦に海軍士官として従軍したり、1919年には29歳でローマ大賞を受賞してイタリアへ留学したりするなど、パリを離れている時期が多かったことが理由と思われます。

 ローマ大賞への応募は、周囲からの反対を押し切ったと言われており、のちにイベールの評伝を書いたジャック・フェショットによると、作曲家はナディア・ブーランジェの助力を得てコンクールの準備を進めたといいます。大賞の審査に参加していた作曲家のアンリ・ビュセールは、提出されたカンタータ「詩人と妖精」のスコアに目を通した折、その独自性に大きな感銘を受けた言っています。3年間のイタリア滞在により、イベールの作曲家としてのキャリアが開花することになった。
 その後のイベールには、充実した仕事の期間が続き、彼の作品が正式に公の場で演奏されたのは、1922年10月22日に行われたコンセール・コロンヌの公演でです。「レディング監獄のバラード」、1924年1月にはローマ留学中に作曲した代表作「寄港地」が初演され、大好評を博します。これでイベールの名はフランスだけでなく国際的に広まります。今日聴く「戯れ 」もその頃の作品です。しばしばその作風は、軽妙、洒脱、新鮮、洗練などと言った言葉で評されるところですが、これもそうした作品の一つでしょう。

 

※ 演奏会のご案内⑬ ダンシングフルートVol2

 

※ 演奏会のお知らせ⑭ 翡翠トリオピアノ三重奏の夕べ

 

 

イベール、ジャック/戯れ(ソナチネ)

Ibert, Jacques JEUX,SONATINE

<解説>

 イベールのフルートのための作品としては 「フルート協奏曲」 (1934) と、その2年後に作曲された独奏フルートのための 「小品」 が有名ですが、「ソナチネ」 Jeux (戯れ) は、その10年程前の1923年に作曲されました。イベールは、1919年にローマ大賞を受賞して、1920年から23年の間ローマに留学しましたが、その間の成果のひとつとしてこのソナチネが完成し、ルイ・フルーリーにより初演されました。第1楽章・アニメ (活発に)、第2楽章・ターンドル (優しく)、あわせて5分程の短いソナチネです。この曲には、例えば、プーランクのソナタのようにはポピュラーになりにくい、一種とらえどころのなさがありますが、フルートとピアノのパートを上質の絹糸で織り合わせたような、細心の仕事が光っています。前年に作曲され、同じくフルーリーに捧げられたミヨーのソナチネを思わせるものも持っています。ドビュッシーの 「シリンクス」 も初演し、ルーセル 「笛吹き達」 の中では 「クリシュナ」 を捧げられているフルーリーの笛の音はどんなものだったんでしょうか。いずれも、極上の音色を想定しているように思われるので、今更ながら彼の音色に思いを馳せてしまいます。(解説/三上明子)

 

Duo Ciel : Celeste -Music for Flute & Piano


【デュオ・シエル Duo CIEL】
パリ・エコールノルマル音楽院卒業のフルーティスト竹氏美加とピアニスト竹添 歩によってパリにて2014年結成。聖十字アルメニア教会での「マレの音楽の時」シリーズ定期演奏を始めとしてパリを拠点に演奏活動を行っている。夏の期間は神戸、大阪、奈良、東京などでコンサートを行う。
 2015年、フランス国際ピアノグランドコンクール・室内楽部門にて審査員全員一致の一位およびオーディエンス賞を受賞。エリック・ルサージュ、ジャンマルク・ルイサダ、ミッシェル・モラゲス各氏に指導を受ける。(メーカー資料より)

【収録情報】
● ムーケ:パンの笛 op.15
● フォーレ:幻想曲 op.79
● プーランク:フルート・ソナタ
● サン=サーンス:ロマンス op.37
● ロパルツ:ソナチネ
● イベール:戯れ
● シャミナード:コンチェルティーノ op.107