フルートの出番です285 フェルステル「木管五重奏曲」op.95 | 翡翠の千夜千曲

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Wind Quintet, Op. 95 - Josef Bohuslav Foerster

District5 - Live at Gildenhorn Hall, University of Maryland, College Park 

1. Allegro moderato - Un poco meno mosso - Meno mosso (quasi Andante) 

2. Andante sostenuto (E♭ major) 

3. Allegro scherzando (due batutte) (C minor) 

4. Moderato e tranquillo - Allegro moderato 

Flute - Laura Kaufman 

Oboe - Alison Lowell 

Clarinet - Nina Elhassan 

Horn - Laura Brisson 

Bassoon - David Young

 

 

 寒くなりましたが、こういう日こそ「牧歌的な音楽」を楽しみましょう。長いパンデミックを乗り越えて、新しい年は気分もさわやかに迎えたいものです。ウクライナもパレスチナやイスラエルにも、ミャンマーにもアフガニスタンにも平和を!

 以前にフェルスターと言う作曲家を紹介したことがありますが、この人物はドイツ人でヨハン・クリストフ・フェルスターと言い18世紀に活躍した作曲家です。今日の主人公は、フェステルでチェコの人です。ドイツ語では、Försterでフェルスターと発音し、 チェコではFoersterはフェルテルですが、ドイツ語で発音するとフェルスターになるそうです。

 改めて紹介すると、ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステル(Josef Bohuslav Foerster, 1859年12月30日 - 1951年5月29日)はチェコの作曲家で音楽評論家です。現在も戦禍にあるウクライナは旧ロシア帝国からソビエト連邦時代まではロシアに併合されていたように、チェコはチェコスロバキアと言う国であった時代もあり、彼が生まれた当時はオーストリア帝国領でした。そのプラハに生まれ、プラハ音楽院で学んでいます。

 その後オペラ歌手ベルタ・ラウテラーと結婚してハンブルクに移り、音楽評論家として生活しますが、同地でマーラーとその音楽を知り、その支持者となります。1901年ハンブルク音楽大学の教授に就任しますが、1903年にウィーンに移り、その地でも教壇に立つかたわら評論活動を続けます。
 後にオーストリアから独立したチェコスロヴァキアに帰国して1922年から1931年まで母校で教鞭を執り、1939年に院長になり、1946年に人民芸術家に任命されています。ノヴイ・ヴェステチで他界。作曲家としての彼はチェコの先輩であるドヴォルザークなどの伝統を受け継ぎ、オーケストラの規模や編成、和声法の上で後期ロマン派らしい拡大化の傾向も見せ、後期ロマン派的な重厚さや瞑想的、内面的な作風を見せています。
 

 

 

 

フェルステル、ヨゼフ・ボフスラフ/木管五重奏曲 OP.95

Foerster, Josef Bohuslav KVINTET (WOODWIND QUINTET) OP.95 , SCORE & PARTS

<解説>

 J.B.フェルステルはチェコの作曲家、オルガニスト、著述家で国民楽派以降のチェコ音楽を近現代化に導いた作曲家の一人です。4楽章構成で後期ロマン派の伝統的書法で描かれています。彼は絵画的な才能にも恵まれ、色彩感豊かな、詩的表現力に富んだ作品に仕上がっています。第1楽章は自由なソナタ形式で書かれ、付点音符と3連符からなる主題が全体を支配、6連符の動機が12/8の主題と融合して流れを形成します。第2楽章は穏やかな夢路に誘われる響きにホルンが角笛を奏で、刻々と情景が変化していきます。第3楽章は自由な複合三部形式で、短3度のトレモロが持続音として背景に響き、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンが小鳥の囀りを、またホルンでは角笛の牧歌も歌われます。中間部はパストラールです。アンダンテ・コン・モートはトリオに相当し、クラリネットがパン(牧神)の笛を奏でます。第4楽章は前奏の不協和音から3連符と4度動機が応答し、民族風主題が対位法的に連なります。続いて悲しいスケルツォから半音階的に変奏されて、後に長閑な牧歌風旋律と交錯してクライマックスをむかえ、コーダで曲を閉じます

 

 

フェルステル&パヴェル・ハース:木管五重奏曲、ヤナーチェク:木管六重奏曲

①ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステル(1859-1951):木管五重奏曲 ニ長調 Op.95(1909)
②パヴェル・ハース(1899-1944):木管五重奏曲 Op.10(1929)
③ヤナーチェク(1854-1928):木管六重奏曲(1924)

ベルフィアト五重奏団【オト・レイプリハ(フルート)、ヤン・ソウチェク(オーボエ)、
イルジー・ヤヴーレク(クラリネット)、オンドレイ・シンデラーシュ(ファゴット)、
カテジナ・ヤヴールコヴァー(ホルン)】、
③インジッヒ・パヴィリシュ(バス・クラリネット)
セッション録音:2017年2月10-14日/チェコ・ブレザレン福音教会(プラハ)