グラズノフ バレエ音楽「四季」 | 翡翠の千夜千曲

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A.Glazunov "The seasons" / Vladimir Ponkin (conductor)

A.Glazunov "The seasons" Op.67 Conductor - Vladimir Ponkin 

Tchaikovsky symphony orchestra, art director and chief conductor - Vladimir 

Fedoseyev Moscow conservatory, May, 18, 2017

 

Glazunov The seasons complete ballet

 

 

 

 

 

 昨日は、関東でも久々の雨で山々の木々は勿論恵みの雨であったかもしれません。こんなことを書くと西日本や九州沖縄方面の皆様には不快でしょうが、以前ここにも書いた通り関東方面の

山々は日照続きで広葉樹を中心とした木々が枯れて、あちらこちらにその木が茶色く変色していて見るからに気の毒な状態だったのです。

 今日は、グラズノフのバレエ音楽を聴きます。19世紀半ばに生まれ、晩年はパリで亡命生活を送ったグラズノフですが、多くの優れた作品を作曲し、ペテルブルク音楽院の中で教育者としても肌身を削って改革し、多くの門弟を育てました。

 グラズノフの作品は、ロシア国民楽派を受け継いでいる民族主義を基にして、ロシア・ロマン主義と融和させた作曲様式だと思います。色彩的で華麗な管弦楽法や豊かな和声法と、抒情的な旋律と洗練された優雅な表現を取り入れてヨーロッパのロマン派的音楽とロシアの民族性を融合させたと言われています。その功績は、音楽史の上で重要な役割を評価されています。

 グラズノフは生涯でバレエ音楽を3つ作曲しているのですが、バレエ音楽としてもっとも有名な作品は「ライモンダ」と云われています。しかし、今日聞く「四季」も美しい作品で、グラズノフの才能がもっとも開花した時代に作曲された名作です。
 この作品は、1899年に振付師マリウス・プティパから依頼されて作曲され、1900年サンクトペテルブルグのエルミタージュ劇場でリッカルド・ドリゴの指揮で初演されています。一幕四場で構成されていますが、今日バレエとして上演される機会は余りなく、管弦楽や吹奏楽では演奏されています。「四季」を書いたころは34歳で、この時期はサンクトペテルブルグ音楽院の教授に就任するなど、まさに全盛期だったと言えましょう。
 一般のオペラやバレエ作品には、ストーリーがありますが、グラズノフのバレエ音楽「四季」には物語がありません。こういうバレエ作品はプロットレス・バレエと呼ばれ、グラズノフのバレエ「四季」はその先駆とも言えます。しかし、この中には象徴的なものが存在します。それは、季節や花を表現する妖精たちなどです。
 ビヴァルディの作品のように「四季」と言えば春から始まるイメージがあります。しかしグラズノフの作品は「冬」から始まっています。これは作曲を依頼した振付師のマリウス・プティパによる提案だと言います。誰が言ったか「ロシアにあるのは寒い冬と寒くない冬だ」と言った言葉を思い出します。この作品では、冬という厳しい季節から始まり、少しずつ暖かくなるロシアの喜びを喚起させる狙いがあったのかも知れません。
 マリウス・プティパは「クラシック・バレエの父」と評されるフランスのバレエダンサーで振付師です。チャイコフスキーの「眠れる森の美女」や「白鳥の湖」の振付を担当した人物で、「ジゼル」や「海賊」などにも関わっています。バレエ界においてとても重要な人物とされています。

楽曲編成について
前奏曲から始まり、「冬」「春」「夏」「秋」の4つの季節をテーマにした作品が演奏されます。各季節の冒頭では、その季節を象徴するテーマが演奏されます。

1、前奏曲
2、冬
①・情景
②・バリエーション:霜
③・バリエーション:氷
④・バリエーション:霰
⑤・バリエーション・雪
⑥・終曲

3、春
①・情景
②・バラの踊り
③・小鳥の踊り

4、夏
①・情景
②・矢車菊とケシのワルツ
③・舟唄
④・バリエーション・トウモロコシの精の踊り
⑤・終曲

5、秋
①・バッカナール
②・小さなアダージョ
③・バッカスの礼賛

アポテオーズ(大団円=フィナーレ)

楽器編成について
ピッコロ、フルート、オーご案内クラリネット、ファゴット
ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ
ティンパニ、トライアングル、タンブリン、小太鼓、シンバル、ドラム、鉄琴、チェレスタ
ハープ、弦楽五部
 

※ 以前の記事

① ホルンの出番です221 グラズノフ「牧歌」「セレナード」ホルンと弦楽合奏のための作品

② ホルンの出番です86 グラズノフ「夢」op.24

③ ホルンの出番です188 グラズノフ「エレジー」作品17

④ サクソフォン グラズノフ/アルト・サクソフォーンと弦楽オーケストラのための協奏曲 変ホ長調

 

※ 音楽会のご案内

〇 ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンの為のソナタ全曲演奏会

 

 

グラズノフ:バレエ音楽「四季」 Op.67 全曲: スタディ・スコア 【輸入:オーケストラ(スコア)】

Seasons, The, Op.67/Complete Ballet: Study Score

グラズノフ, Aleksandor Konstantinovich

GLAZUNOV, Aleksandor Konstantinovich

 

グラズノフ:バレエ音楽「四季」

スヴェトラーノフ(エフゲニー) (アーティスト)  形式: CD