ドヴォルザーク 序曲「謝肉祭」 作品92 | 翡翠の千夜千曲

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アントニン・ドヴォルザーク:カーニバル序曲 作品92|クリスティアン・マチェラル|WDR交響楽団

WDRシンフォニー・オーケストラ クリスティアン・マセラル(指揮)

 

 

 

 今日は、打楽器の方必見です。なぜでしょう?答えは、この曲はよく、打楽器奏者のオーケストラ入団試験の課題曲になるからです。ついでに書いておきますと、ラヴェルの「ボレロ」の小太鼓(スネアドラム)もよく課題になるようです。「謝肉祭」では、タンブリンやトライアングルも大活躍しますからね。以前も書きましたが、私は新しい作品を演奏する時には可能な限りスタディスコアを買い求めるように言っています。貴方にもお勧めします。

 正確なタイトルは、ドヴォルザーク(1841-1904)作曲の序曲「謝肉祭」 作品92(B.169)と言いますが、実はこの作品演奏会用の三部作です。「自然、人生、愛」の第2曲になっています。1曲目は「自然のなかで」作品91、第3曲は「オテロ」作品93になっています。作品番号を見ればよく理解できると思いますが、一番良く演奏されるのが「謝肉祭」です。

 私は、熱心とは言えない仏教徒ですので、西洋とりわけキリスト教にまつわる祭典には不案内です。物の本によると、謝肉祭=カーニヴァルは復活祭(イースター)と関係が深いのだそうです。キリスト教では、十字架に磔になって亡くなったイエスの復活こそが、宗教上でもっとも重要な意味を持つと言います。復活祭は、3月から4月にかけての移動祝日というのだそうです。それを迎える前の40日間は断食、具体的には「肉断ち〈Caro vale〉」)をするのです。これに備えるかのように直前に、ごちそうをたらふく食べて大騒ぎするお祭り、これがカーニヴァル〈Carnival〉です。ラマダン、聖地が同じ場所で反対側、つまりイスラム教とキリスト教は・・・。
 さて、ドヴォルザークは、「謝肉祭」をわずか1か月半で作曲しています。ちょうど9月で50歳の誕生日を迎え、国際的的にも名声を博していたドヴォルザークは、その前の年にケンブリッジ大学とプラハ大学から名誉博士号を授与されています。「謝肉祭」はプラハ大学へのお返しの曲として書かれたものです。
 冒頭から賑やかに始まるこの曲の賑わいが一段落すると、フルートやオーボエの奏でる別世界がやってきます。この旋律は、第1曲の自然の中の「自然をあらわす主題」です。ヴァイオリン独奏のあと、お祭りの大騒ぎが戻っています。この盛り上がりが最高潮に達し、トゥッティの熱狂の嵐のうちに曲はフィナーレに達します。

 

<お知らせ>

※ 演奏会のご案内7 DANCIG FLUTE

 

 

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 Op.92 B 169: スタディ・スコア

 【輸入:オーケストラ(スコア)】Karneval-Ouverture Op.92 B 169: Studienpartitur

ドヴォルザーク, Antonin DVORAK, Antonin

 

ドヴォルザーク:謝肉祭序曲 作品92

アントニン・ドヴォルザーク 、 アンドレ・プレヴィン