Sonate in G | WQ 123/H550
Sonate in G | WQ 123/H550 Andante • Allegro • Tempo di Minuetto / 1. Variation / 2. Variation Birgit Maier-Dermann • Flöte Steffen Mark Schwarz • Orgel Orgelbau Lieb | Truhe Gedeckt 8’ [1987] Veitskapelle S-Mühlhausen Veitskonzert I | 01. Mai 2015
Sonate in e | WQ 124/H551
Sonate in e | WQ 124/H551 Adagio • Allegro • Menuet/ 1. Variation / 2. Variation Birgit Maier-Dermann • Flöte Steffen Mark Schwarz • Orgel Orgelbau Lieb | Truhe Gedeckt 8’ [1987] Veitskapelle S-Mühlhausen Veitskonzert I | 01. Mai 2015
今日聴きますのは、C・P・E・バッハのソナタです。以前も書きましたが、エマヌエル・バッハの音楽は覚えやすく親しみの持てる音楽を意図していたことが、大衆に受け止められもてはやされたとういう側面があると思います。しかし、そのことを評価しない人間もまた出てきます。
19世紀に入ると、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの名は無視されるようになった。たとえばロベルト・シューマンは、「創造的な音楽家として父親とは余りにも格が違いすぎる」と述べている。
しかし、現在の私たちは両方をそういう思惑などなしに、親子の比較など全くする必要もなく楽しむことができます。それは不幸なことでは無く、とても幸いなことだと私思います。
聴いてお分かりの通り、エマヌエル・バッハのこの作品は、若々しさを持ちながらも自分なりの音楽スタイルに確信を持ち始めていたのではないでしょうか。マイスターとも言える職業作曲家としての訓練を小さい頃から積み上げてきている貫禄さえ見える気がします。
バッハはウィーンの古典の中で高く評価されました。ヨーゼフ・ハイドンは告白しました:「私を徹底的に知る人は誰でも、私がエマニュエル・バッハに多大な借りがあること、私が彼を理解し、彼を熱心に研究したことに気づかなければなりません。モーツァルトから「彼(エマニュエル・バッハ)は父親です。私たちは男の子です。わたしたちから正しいことができる人はだれでも,それを神から学んでいるのです。」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、ブライトコップ&ヘルテルに宛てた手紙の中で、「私はエマニュエル・バッハのピアノ作品のほんの一部しか持っていないが、高い楽しみのためだけでなく、勉強のためにも、すべての真の芸術家に仕えなければならないものもある」と書いている。
この文言の一部は、前にも紹介しましたが、モーツアルトは実際に多くの人物にこのことを語っていたようです。
また、長い生涯を通じて、エマヌエルはクラヴィーア演奏の巨匠であり続け、チェンバロよりも、むしろクラヴィコードとフォルテピアノに愛着を示していたようです。フォルテピアノは現在のピアノの前身であるとは言え、弦の張力も弱く線も今のように数種類の太さのあるものではありませんし、アクションのシステムも現在とは違います。外観はチェンバロなどとあまり変わりません。
技術的にそれほど難しくはありませんが、形式感を表現するためには※対比やを生かすこと、フレージングなども楽譜によっては何も書いていないものもありますので、(校正してある楽譜もある)自分なりにアナリーゼをして、先生や友人などに相談したり聞いてもらううことも大切です。※多感様式では主題が複数(普通は2つ)あります。(翡翠)
※ 一口メモ「クラヴィコード」
クラヴィコードは、弦をタンジェントと呼ばれる金具で突き上げることで発音する鍵盤楽器である。長方形の箱形の楽器で、テーブルや専用の台などの上に置いて用いる。音量はチェンバロなどに比べると小さいが、打鍵の強さによって音に強弱をつけることができる。
※ 一口メモ 「チェンバロ」
チェンバロ(独: Cembalo, 伊: clavicembalo)は、弦を※プレクトラムで弾いて発音する鍵盤楽器である。英語ではハープシコード (harpsichord)、フランス語ではクラヴサン (clavecin) という。
※ ピックの一種ですがフィンガーピックとは違うもの(翡翠)
以前の記事
① フルートの出番です⑳ C.P.E.バッハ「フルート協奏曲ト長調」ミュンヘンコンクール
② フルートの出番です㊸ C・P・Eバッハ「トリオソナタ」ニ短調H.569
バッハ、カール・フィリップ・エマヌエル/ソナタ ト長調 WQ123/ソナタ ホ短調 WQ124
Bach, Carl Philipp Emanuel 1.SONATE G-DUR,WQ.123/2.SONATE E-MOLL,WQ.124 |
<解説>
J.S.バッハ家の長男フリーデマンの音楽教育に使われた教材は今日にも伝わっていますが、次男エマヌエルに対しても、父が音楽の手ほどきをしたと考えられます。エマヌエルは、15歳頃からライプツィヒにて父の下で通奏低音奏者を務め、父の作品の筆写も受け持つ過程で、大バッハの作曲法を身をもって学びました。 「ソナタ ホ短調」は、1737年、23歳の作。この頃、プロイセン皇太子(後のフリードリヒ大王)の目に留まり、国王即位後には、宮廷楽団の音楽家になりました。この時期には、父もまだ創作活動を続けており、因みに大バッハの「ソナタ ホ長調 BWV 1035」が10年後の1747年作であることを思えば、エマヌエルが早くから自分の作風を確立していたことが分かります。第1楽章 Adagio 憂いに満ちた出だしから、刻々と情感の陰影が描き出され、多感様式の世界に誘います。 第2楽章 Allegro シンコペーションを多用して、イキのよい楽章。 第3楽章 Menuet 主題と2つの変奏からなる。メヌエットの主題は、跳躍が大きく、優雅で運動性に富んだ運びです。(解説・三上明子)
柴田俊幸 、 バルト・ナーセンス
ベルギーを拠点に活動し、日本では「たかまつ国際古楽祭」を立ち上げるなど広く活動する古楽&モダンのフルート奏者、柴田俊幸。オランダの老舗レーベル「Et'cetera」に録音されたニュー・アルバム「C.P.E.バッハ」の日本語解説付き国内仕様盤が登場!
柴田俊幸は、モダン楽器奏者としてブリュッセル・フィルハやベルギー室内管弦楽団、古楽器奏者としてはラ・プティット・バンド、イル・フォンダメントなどの一流オーケストラで演奏し、2017年には地元高松で「たかまつ古楽古楽祭」を立ち上げ、2019年には総合監督として第3回を迎えました。2019年9月には初来日したB'Rockオーケストラのソリストも務める他、ベルギーの名鍵盤楽器奏者バルト・ナーセンスとのソロ・リサイタルも成功させています。
アントワープの王立音楽院図書館・フランダース音楽研究所の研究員として、時代考証演奏法の研究と18世紀ー19世紀のフランダースの作品の発掘、楽譜の校正と出版にも携わる柴田俊幸が、1725年頃製のフラウト・トラヴェルソで吹く、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのフルート・ソナタ集。音楽史に素晴らしい遺産を残しながらも、偉大すぎる父の陰に隠れて過小評価されたままとなっているC.P.E.バッハの「宝石」を、豊かな倍音を含んだ柔らかいトラヴェルソの音色でお届けします。古楽ファンやトラヴェルソ愛好家は要注目です!
東京エムプラス
C.P.E.バッハ:フルート・ソナタ集
ソナタ ト長調 Wq.123, H.550
ソナタ ホ短調 Wq.124, H.551
レ・ガブリエル Wq.117/35, H.97
ソナタ 変ロ長調 Wq.125, H.552
鍵盤楽器のためのソナタ ト短調 Wq.65/27 H.68
ソナタ イ短調 Wq.128, H.555
ラ・カロリーヌ Wq.117/39, H.98
ソナタ ニ長調 Wq.129 H.556
【演奏】
柴田俊幸(フラウト・トラヴェルソ)、
バルト・ナーセンス(チェンバロ)

