G.F. Handel: Harp Concerto - Sarah Ridy - Barrocade
G.F. Handel: Harp Concerto HWV294 Sarah Ridy: Triple Harp Barrocade Ensemble Live recording, Tel Aviv Museum, 03/2016 Video Production: Jacob Aviram
日曜日の朝を、どのようにお迎えですか。今日一日は、どんよりした空で、西の方から雨模様のようです。おまけに、月曜日は雨で寒いらしい。今日は、バッハと同じ年に生まれたヘンデルを聴きますが、土日は比較的明るく穏やかな音楽にしようと考えておりますので、迷った挙句「ハープ協奏曲」にしました。「メサイヤ」や「水上の音楽」でも、良いと思いますが、もっとポピュラーなものにしました。
「私を泣かせてください」「オンブラマイフ」などは、高校の選択音楽で歌いましたが、歌詞は今でも原語で焼き付いています。その頃に、音楽の先生がアンドレ・クリイタンスの指揮するパリ管のフォーレの「レクイエム」を「これは、名盤だ」と言って聞かせてくれたのを覚えています。
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685~1759)は、神聖ローマ帝国ハレで生まれました。ドイツで生まれ、イタリアでも音楽経験を積みますが、最終的にはイギリスで活躍し、そこで生涯の閉じています。
最初は、オペラの作曲と公演を主に行っていましたが、次第にオラトリオ(キリスト教の聖書を題材とした音楽劇)の作曲にも取り組み多くの名作を残しました。バッハと同じバロック音楽の重要人物の1人として、「音楽の父」と呼ばれたバッハと並べ称するためにヘンデルは「音楽の母」と呼ばれています。
ヘンデルの音楽は、物語性の推進力があること、感情の起伏やドラマティックな演奏効果をねらい、楽曲全体を物語のような構成にするところが見られます。音の強弱だけではなく、その時々の心情や感情が表出しやすいように作られています。
同時期のバッハは教会付きの音楽一家だったこともあり、教会音楽が多いのですが、ヘンデルは音楽とは無縁の家庭で育ちましたし、ハノーファー選帝侯の宮廷楽長や「王室音楽アカデミー」責任者などを努めていましたから、劇場音楽や演奏会で楽しむ音楽が多く書かれた様に思います。そういう意味では、ヘンデルの音楽はのびのびと書かれていると思います。
ハープ協奏曲 変ロ長調 HWV294aは、1736年に初演されましたが、世界最初のハープ協奏曲と言われています。全3楽章でできていますが、独奏楽器をオルガンに変えたものもあります。
ヘンデルの協奏曲・合奏協奏曲の多くは、舞台作品を上演する際に幕間の余興として演奏するために作曲されたものである。本曲も頌歌『アレクサンダーの饗宴』がコヴェント・ガーデン劇場で1736年2月19日に初演されたとき、一夜の出し物としては短すぎるため、同時に初演するためにハープ協奏曲、合奏協奏曲ハ長調「アレクサンダーの饗宴」HWV318、イタリア語カンタータ『チェチーリアよ、まなざしを向けたまえ』HWV89、オルガン協奏曲ト長調HWV289の4曲を作曲したものである。ただしハープ協奏曲は幕間用ではなく、頌歌の本編に組みこまれて演奏された。1738年に出版された『アレクサンダーの饗宴』の出版譜にはこの協奏曲は含まれていないが、第1部のレチタティーヴォ「いと高く座したるティモテウス」(Timotheus, plac'd on high)の後に「ハープ、リュート、リリコード、その他のための協奏曲」が置かれており、本曲のことと考えられる。このレチタティーヴォはティモテウスのリラ演奏の様子について歌っており、ハープ曲が演奏されるのは歌詞と合っている。
ヘンデルが使用したハープはトリプル・ハープであり、ペダルを使わずにすべての半音が演奏できたが、演奏は非常に困難だった。ヘンデルはこの楽器をオペラ『ジュリオ・チェーザレ』、オラトリオ『エステル』、『サウル』でも使用している。
初演から2年後の1738年に『オルガン協奏曲集作品4』(全6曲)がジョン・ウォルシュ(子)から出版されたとき、ヘンデル本人が本作品をオルガン協奏曲として編曲した別稿がその第6番(HWV294)として収録された。
以前、交響曲のなりたちについて書きましたが、一夜の音楽会で入場や始まりの音楽として、1楽章が演奏され、中心になる出し物(曲)が演奏され、中継ぎに2楽章を演奏し、もう一つの中心になる曲を演奏し、最後のまとめのように3楽章が演奏される、などということがままありました。モーツアルトやベートーヴェンのような一つの大きな構造を持った交響曲が現れるのは、古典派の時代も後半の頃からです。当時の協奏曲や交響曲は、どちらかと言えば娯楽性の高い作品と言えたのかもしれません。とは言え、それが作品の価値を貶(おとし)めるものとは言えません。
<楽曲の構成>
管弦楽の楽譜はリコーダーおよびヴァイオリン(弱音器つき)用が2部と低音(ヴィオラ・チェロ・コントラバス・チェンバロ)用の3段からなる。ヴァイオリンが弱音器つきであること、低音がピッツィカートで演奏されること、および管楽器がリコーダーのみであることは、独奏楽器がハープであることを配慮したためと考えられる。曲は全奏部分と独奏楽器のみの部分が交替する。急-緩-急の3楽章から構成される。
- Andante allegro, 4⁄4拍子 変ロ長調
- Largetto, 3⁄4拍子 ト短調
- Allegro moderato, 3⁄8拍子 変ロ長調
※ リコーダーをフラウト・トラヴォルソで演奏した盤も存在します。
ラスキーヌ(リリー) (アーティスト, 演奏),& 9 more Format: Audio CD
